アメリカ合衆国陸軍が行った「砲撃訓練による習得度」を調査した実験は、とても興味深い結果となりました。
行った実験は実に単純なものだ。20日間ぶっ通しで、起きている時間と食事の時間以外は、ずっと砲撃訓練を行った。この砲撃訓練において調査した要因は”睡眠”だ。
この研究では、睡眠と食事以外のすべての時間を砲撃の訓練にあて、7時間睡眠させるグループ、6時間睡眠させるグループ、5時間のグループ、4時間のグループに分けられました。
このグループ分けは”睡眠”に焦点を当てていますが、睡眠時間によって”練習時間”も変わっています。つまり、7時間睡眠をとるグループは、4時間睡眠をとるグループより、一日あたり3時間練習時間が短くなるため、20日間トータルすると、約60時間も練習時間が違ってくるわけです。
さて、結果はどうなったのでしょう?
20日間の訓練後、砲撃の命中率を調査したところ、7時間睡眠をとったグループは最高で98%の命中率だった。そして6時間睡眠のグループは50%、5時間睡眠のグループは28%、4時間睡眠のグループに至っては、15%の命中率に止まった。
睡眠不足により、集中力や記憶力の低下、筋力の低下、運動失調など、さまざまな悪影響が出ることは知られていますが、これほど明白な研究結果はそうそうありません。
「睡眠時間を削るほど練習時間は増えているにも関わらず、その学習効果はかえって低下してしまう」ということろが、とても重要なポイントだと思います。
新たに何かを学習する時、時間が足りないとどうしても睡眠時間を削ってしまいがちです。
しかし睡眠時間を削る前に、毎日の生活の中から、
「これは絶対に外せない!と言うほどでもない習慣」を見つけ出し、そこから時間を確保するのが得策です。
睡眠時間を削る代償はとても大きいのですから。
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