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特性5因子〜状況を喚起し、選択していく遺伝子

photo by Michael Gil

前回の続きです。

離婚した親の子どもたちは離婚する傾向が多いとか、母親がうつだと子どももうつになりやすいとか、子どものときに暴力を受けた人は大人になって暴力的になりやすいとか…

こういったリサーチは、何を意味しているのでしょうか?

 

実はこれ、遺伝的な性質を表しているだけなのです。

 

親と子どもが、同じような遺伝子型を持っているが故に、子どもは親と似たような特性になるのであって、「親が離婚した」とか「親から暴力を受けた」という環境要因が子どもに影響を及ぼしたわけではないのです。

 

世界一流の科学雑誌でも、こんなことがありました。

 1999年のNature(世界一流の科学雑誌)に、「夜、常夜灯を点けながら乳幼児を寝かせると、その子は近視になる」という論文が掲載された。

2歳になるまで、夜間、寝室のライトを点灯させずに育てる子どもが将来近視になる割合は10%に満たない。しかし、夜間5ワットの常夜灯を点灯して育てた子どもは34%が近視になり、明るいルームライトを照らした部屋で寝かせた子どもは55%が近視になったというのだ。

これはつまり、夜間、部屋を明るくすればするほど、子どもが近視になる確率を高めてしまうという内容でした。
環境によって、子どもの視力が変わるというのです。

しかし…

しかし、翌年、反論の記事が出た。近視の親は、自分の子どもがよく見えるように常夜灯を点ける傾向がある。つまり、近視は遺伝したのだということだ。(『進化しすぎた脳』より)

「両親と子どもの近似性」も、また「子育ての行動と、その子どもの成長後の行動の近似性」も、ほとんどはこのように説明することができるのです。

 

一方で、環境によって性格的特性が変化(主に助長)することも多々あります。

しかし、同じ出来事に対して、個々の人間がどのように 反応するかを決める大きな要因は、やはり遺伝子型なのです。

両親の離婚への反応にしても、ある子どもは家庭の外できわめて外向的になるかもしれないし、別の子どもは引きこもって内向的になるかもしれない。

もともと神経質傾向の高い子どもは、ネガティブな人生の出来事に劇的に反応するかもしれず、それが連鎖反応となって神経質傾向の特性が助長されるかもしれません。
そして一方で、ネガティブな人生の出来事でも、神経質傾向の低い子供はすみやかに立ち直り、その経験から自信を得ていくかもしれません。

つまり、ある特定の環境が、(全ての人に)同じように反応するわけではないのです。

 

さらに、個々人に生じる一見“たまたま”とも思える出来事ですら、パーソナリティーに影響を受け、起こるべくして起きていることが多々あります。

これは、状況喚起と、状況選択として説明され、以下のようなものです。

たとえば(調和性の低い)私が忙しいオフィスにおいて同僚を怒鳴ったとする。

同僚たちは当然不愉快になり、このあと私が仕事で使いたいものがあっても、わざとぐずぐずするかもしれない。
あるいは仕返しするために、私を苛める陰険な方法を考え出すかもしれない。

特に同僚の中でも調和性の低い人は、特別な反応を示すだろう。私の態度を無視するとか、笑い飛ばすとか、対決の機会を探し求めることにもなりかねない。

こうして私は、自分の低い調和性からくる間接的な結果として、さまざまな敵を作り、争いを生む。そして「低い調和性」という特性はさらに誇張されていくことだろう。

これが状況喚起です。自分がすでにもっている特性によって誘発した「他者からの反応」が、自分がすでにもっている傾向を持続させたり誇張させたりする場合を言います。

パーソナリティが状況にもたらすそうした効果は、ごく普通に見受けられます。

そして状況選択というのは下記のようなものを言います。

なぜ外向的な人は、他の人よりも行きずりのセッ〇スを楽しむことが多いのか。

おそらく内向的な人の多くもまた、そうしたいのだ。実際に状況が許せば(人目のつかない場所で、きわめて魅力的な異性に誘われたなら)、彼らもそうするはずである。

ただ内向的な人の場合、なかなかその種の状況に身を置くことはない。

外向的な人は見ず知らずの人にも簡単に話しかけるし、すぐ知り合いになり、多くのパーティーに出かける。むろん外向的な人がいっぱい集まっているパーティーである。

実のところ、パーティーとは本質的に、外向的な人間がおたがいを見つけ出すための仕掛けなのだ。

こうして外向的な人は一連の選択の末、行きずりのセッ〇スがしやすい状況へと行き着くのである。

そういった行動自体は、完全に状況(今私は、魅力的な異性と二人きり…)によって決定付けられているとしても、
外向的な人はそれ以前の状況の選択を通じて、行きずりのセッ〇スに至るような機会が多くなるわけです。

この状況喚起と状況選択により、環境要因と思われる事柄も、もとはパーソナリティーによって端を発していることが多々あり、
そして、完全に偶発的な事柄でさえ、その影響の受け方はパーソナリティーによって違い、自身のパーソナリティーを助長させることがほとんどです。

 

また親は、子供たちに違った扱い方をすることがありますが、それも子供たちがそれぞれ違ったパーソナリティーを持っているからなのです。

 勉学に、ほんの少し強みを持つ子どもは、親や教師に学問の道を目指すよう励まされ、知的活動が報われることを知り、勉強して他の知的訓練にも取り組むようになる。こうした環境による「増幅器」を働かせ、より効果を生むのだ。(『頭のでき―決めるのは遺伝か、環境か』より)

上記の親や教師による「学問のススメ」は、確かに環境要因と言えます。しかしそれを誘発したのは、やはり遺伝的パーソナリティーであるとも言えるのです。

 

このように考えると、ほとんど全てが遺伝子によって決まっているかのように思えます。

それについて、さらに深く考えるためには、進化の妥当性について考慮する必要があります。

これは環境要因について考える上でとても重要なのですが、より詳しい説明が必要になるので、次回にまわします。

 

→次の記事『特性5因子 ~パーソナリティーを変えることはできるのか?』へ(作成中。毎週土曜日更新)

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