前回記事、
『子どもに身につけさせたいこと第一位、強い意志力』のつづきです。
意志力というのは、自己コントロール能力(セルフコントロール)のことです。
「何かの誘惑(休みたい、遊びたい、食べたい・・・などなど)を我慢する能力」とイメージしていただくと、わかりやすいかと思います。
この意志力(自己コントロール能力)を説明するのにうってつけの、超有名な研究『マシュマロ・テスト』をご覧ください。
4歳児の目の前にマシュマロが入った皿を置き、「これはベルを押せばいつ食べてもかまわない。でも食べずに15分我慢できたらご褒美としてもう一個あげるよ」と言って、実験者は部屋を出る。
部屋の中には、おもちゃや本などの“気をそらせるモノ”は何もなく、子どもたちはマジックミラー越しに観察された。[Walter Mischel and Ebbe B. Ebbesen,”Attention in Delay of Gratification,” Journal of Personality and Social Psychology 16(1970):329-37][Inge-Marie Eigsti et al.,”Predicting Cognitive Control from Preschool to Late Adolescence and Young Adulthood,”Psychological Science 17(2006):478-84]
この実験で「15分待てずにマシュマロを食べた子」と、「15分我慢できてマシュマロを二個ゲットした子」に分けられます。
そして、実験から10~15年後に、誘惑に勝った子どもと負けた子どもの違いが明らかとなったのです。
誘惑に勝った子どもは、麻薬などに手を出す確率が低かったが、もっとも重大な違いが認められたのは、知的能力だった。
4歳の時に自己コントロールを示した子どもたちは、知能テストで大幅に高い点数をとった。
この研究により、食べたいマシュマロを我慢して15分間待っていられた子どもたちは、30秒で脱落した子どもたちに比べて、SAT(大学進学適性試験)の成績が平均210点も高いことがわかったのです。
さらに仲間や教師たちから好かれていて、大人になってからは、より給料の高い職業につき、BMI(肥満度)の値もよく、より健康だったというのです。
この研究が発表される前は、子どものうちに測定されるもので、大人になってからの性質を予測できるものはありませんでした。そのため、この衝撃的な発表に刺激されて、さらに多くの実験や研究が行われました。
そして得られた事実はこうです。
研究者らが大学生の成績と、30を超える性格特性とを比較したところ、各学生の成績評価の平均点を、偶然よりも高い確率で予測できる特性は、自己コントロール能力だけだとわかった。(『意志力の科学』22ページ)
将来の成績や、職業、健康度を予測する上で、
自己コントロール能力のスコアは、IQやSATのスコアより優れていることも証明されたのです。
前回、僕が、「強い意志力は、子どもに身につけさせたいこと第一位」だと話したわけが、これで分かったと思います。
この意志力(自己コントロール能力)は、生まれつきの部分もあるのですが、後天的に鍛えたり、上手く使う方法を学んだりすることは可能なのだそうです。
だったら、それを知りたいし、子どもに身につけさせたいと思うのは、僕だけじゃないと思います。
というわけで次回からは、さらに意志力について掘り下げていきます。
※主な参考文献→『WILLPOWER 意志力の科学』
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