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短期間で劇的に上達する練習法とは?(1/3)

前回記事『サッカー練習実験と、その結果』の続き、効果的な練習法について(主にリフティングを例にして)説明していきます。

前回の投稿後、数人から「一ヶ月であそこまでになるのはすごい。俺はそんなすぐには上達しなかったよ」などと言われました。

「なんでそんな早く上手くなったの?」と。

この記事はその答えとなる内容なわけですが、まず逆から考えてみましょう。

つまり、「なぜリフティングがなかなか上達しないのか?」ということ。

結論から言いますと、その最大の理由は、似ているけど違うキックをたくさんしているからです。

僕は技術的なトレーニングを指導するにあたり、「似ている動作は学習の妨げになるから、できるだけしないで下さい」と何度も話してきました。しかし、ほとんどの方がその重要性を理解してくれませんでした。おそらく僕の説明の仕方が悪いのでしょう。

そこで、もっとしっかりと理解して頂けるよう、今回の記事はかなり力を入れて書いています。
きっと、どんなスポーツや趣味でも、何かを短期間で効率的に習得するための方法を見出せるはずです。

(※僕は『方法』だけを真似るのと、『方法論』を知って練習するのとでは、その効果に差が出ると考えているため、この記事でも“論”の部分まで詳しく説明しています。そのため、またしても長い記事となってしまいました。僕のこだわりでもあり、悪いクセでもあります。。。)

 

ではまず、とても有名な実験の話から。下の単語を見て下さい。

「さにお」「らむち」「おろに」「しゆあ」…

大勢の人を集め、このような無意味な単語を、頑張って10個覚えてもらうという記憶の実験をします。それらを学習直後のテストでは10点満点が取れるようにし、その後、抜き打ちで再テストするのです。

すると、覚えていられるのは4時間後では5個、24時間後では3個くらいになるのだそうです。(個人差も大して無い)

ではこの10個の単語を、もっと簡単に“忘れる”には、どうしたらよいと思いますか?

人は忘れる生き物である一方で、数時間で全てを忘れるのも難しいものです。しかし、ひとつだけ、とても効果的な“忘れる方法”があるのです。

それは、「10個覚えた少し後に、もう10個別の単語を覚えてもらう」というものです。

実験の結果によると、たったこれだけのことで、初めの10個を4時間後に覚えていられる数が、1〜2個に減るのだそうです。
(後から覚えた10個も、3〜4個しか覚えていられない)

しかも、似ている単語を覚えさせると、もっと効果的に忘れさせることができるのです。

記憶テスト

これは『記憶の干渉』と言い、似ている事柄が頭のなかでごちゃ混ぜになって、なかなか学習しにくくなるという現象です。
暗記の勉強をする際は気をつけましょう。(記憶の干渉を防ぐ方法は後ほど)

 

ではここで、冒頭の疑問に立ち返ります。

なぜリフティングがなかなか上達しないのか?

それは、似ているけど違うキックをたくさんしているから、と言いました。

リフティングをすると、ボールはあっちこっちに行き、それをキックしようと足を伸ばしたり、縮めたり、つま先で蹴ったり、側面で蹴ったり…、状況は毎回違います。(これらのキックは全て「似ているけど違うキック」とみなすべきです)

これだと、違うキックを同時に練習しているようなものです。上記の例で言うなら、別の(しかも似ている)単語をいくつも覚えようとしているのと同じ。

つまり、「一回の練習で色んなキックを一緒に練習しても、それらが干渉してしまい、どのキックも大して上達しない」ということが起こるのです。場合によっては下手になることさえあります。

 

これこそが、最も重要なポイントです。

まずは一つのキックに絞り、
ボールの距離、高さ、
股関節、膝、足首が極力同じ角度で、
できる限り同じ位置でボールをキックする練習のみをするべきなのです。

少なくとも、成功率95%くらいの精度になるまでは。

これは、どんなスポーツでも言えることです。例えば、
ゴルフの練習なら、クラブを持ち替えた時点で、さっきまでのクラブの練習を脳は忘れてしまいます。
野球のピッチング練習なら、球種を変えた時点で、さっきまでの球種の練習の効果が薄れます。
テニスのサーブ練習なら、狙うコースを変えた時点で、さっきまでのコースの打ち方は少なからず失われることでしょう。

このように、色んな状況に対応するためにしているはずの練習が、実は効率の悪い練習となっているかもしれません。

 

ここまで読んで頂いて、

「そうは言っても、習得しなければならない技術がたくさんある時は、一つだけに絞って練習すると時間がかかりすぎるのではないか?」

という感想を持たれたかもしれません。しかしそれは、『スモール・ステップ法』の効果と『学習の転移』によって解決されます。

次は、それを説明するために、犬の学習実験から見ていきましょう。

『短時間で劇的に上達する練習法とは?(2/3)』

“短期間で劇的に上達する練習法とは?(1/3)” への2件のフィードバック

  1. 慶治先生。

    まずは手書きのイラスト、かわいらしくて秀逸です(笑)。

    同じ内容の練習をやり続けるのは非常に根気がいりますよね。
    私もどちらかというと根気がない方なので…。

    「脳」にインプットするには今回、紹介していただいた通り
    記憶の干渉が起きないように練習することが大事…。

    ということを、きっと「脳」自体は知っているはずなのに
    それを上手くさせない機能も「脳」の中にある…

    ということが興味深いなぁ~と感じました。

    一見、「脳」は完璧なマスターオヴセレモニーのようなイメージ(笑)がありますが
    無駄ばかりすることもあったり、余計なことをしたり…かわゆい。

    「脳」は完璧!ではない。

    ということを知るだけでなんだか気持ちが楽になるのは私だけでしょうか…。

    1. 神保先生>なんか長いし、読むのに疲れると思い、イラストを入れてみました。お褒めのお言葉、ありがとうございます(笑)

      脳は、基本怠け者というか、「生きるために」エネルギーの無駄遣いを無くそうと必死なので、
      何かを学ぶ時には、「これは生きるために必要なことなんだ」と脳に思わせなきゃ行けないんですよね。そしてそれが難しい。

      神保先生の言う通り、「脳ってけっこう不完全」ってことを受け入れると、気持ちが楽になって、もっと前向きになれる気がします。

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