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前回記事、『セルフマッサージやストレッチをするにあたって、知っておいた方がよいこと』のつづきです。
人の感覚は、慣れます。
入る時は「あっちー!」となるが、しばらく入っていると、そんなに熱くは感じなくなる。
明るいところから暗い洞窟へ入っても、
入った瞬間は、「暗くて何にも見えない」となるが、しばらくすると、薄っすら見えくる。
臭い部屋に入っても
入った時は「ん?なんか臭い」となるが、しばらくすると臭くなくなる。
こういった感覚の慣れは、“痛み”でも同じように起こります。
例えば「痛気持ちいい」といった感じの強いマッサージをすると、初めは痛いのですが、だんだん慣れてきて、痛みを感じにくくなります。
なぜそうなるのかと言うと、マッサージの刺激によって、痛みの閾値が上がるからです。
(※下図、赤ラインが閾値。グレー曲線が刺激の強さ)
上図のように、痛みの閾値は、強い刺激によって一時的に上昇するのです。
そのため、同じ強さの刺激(上図の2回目の刺激)では痛みを感じなくなります。
そうなると(特に【痛いマッサージ】が好きな人は)、同じような“痛気持ちいい”を求めて、刺激を強くすることになります。
(※下図は、上昇した痛みの閾値を越えるために、2回目の刺激を強くしている様子)
つまり、“痛み(痛気持ちいい)”を基準にマッサージしていると、下のようなサイクルになってしまうのです。
↓
その刺激によって痛みの閾値が上昇し、あまり痛みを感じなくなる
↓
また「痛気持ちいい」を求めて刺激が強くなる
↓
その刺激によって痛みの閾値が上昇し、あまり痛みを感じなくなる
↓
また「痛気持ちいい」を求めて…
このように、どんどん刺激が強くなり、ついには筋肉や靭帯などの組織を傷めてしまうこともあるのです。
※あえて痛みの閾値を上昇させて施術を行うテクニックもあります。ここでは、医学的な知識をあまり持たない一般の方向けの話になっています。
次回は、強い刺激による身体への悪影響を説明します。