前回記事『ダイエット方法論〜野菜から、ゆっくり食べる編〜』の続きです。
前回は【お風呂の例え話】をしましたが、今回はまったく別の例え話をします。(前回のお風呂の話は、ここでは忘れてください)
痩せるには、脂肪を分解してエネルギー源にすることが必要です。
ですが、それがなかなか簡単ではないのです。
なぜなら、身体の中のエネルギーの管理とは、節約家の奥さんが、収入が不安定な旦那の稼ぎを管理しているような状況だからです。
意味不明ですね。説明します。
旦那の給料はいつ、どれくらいもらえるかは分からないため、奥さんは色んなやりくりをするために節約する必要があります。
旦那がたくさん給料をもらってきたら、奥さんは必要な分だけ財布に入れ、当面必要無さそうな分は銀行へ貯金します。
財布のお金が無くなってくると、奥さんは旦那にはっぱをかけます。
奥さん「もうお金が無いから、もっと働いて給料もらってきて!」
旦那「銀行にあるじゃないか」
奥さん「それは万が一にそなえての貯金なの!稼げるときにしっかり稼いで!」
そうして、給料をもらってきたら、必要な分を財布へ補充し、当面必要のない分は銀行へ入れます…
奥さんはとても節約家ですので、財布の中にお金があるうちは、銀行から引き落とすことはしません。
そして、財布のお金が減ってきても、すぐには銀行から引き落とすことはせず、旦那に「稼いできて!」と、はっぱをかけるのです。
それでも収入が無く、財布もからっぽになってから初めて、銀行から引き落として、財布のお金を補充します。
上記の例を身体の中に置き換えると、
収入が食事、
お金が糖、
財布のお金は、まだ固形の脂肪となって定着していない脂肪(脂肪酸)、
銀行へ貯蓄しているものが、いわゆる固形化した脂肪(中性脂肪)、
収入を得るために、旦那さんの尻を叩くことは、食欲にあたります。
体内の脂肪は主に2種類あって、1つは分解してエネルギー源となりやすい脂肪酸。
もう1つは、大きなかたまりとなって分解しにくくなる中性脂肪です。
節約家の奥さんが、財布の中のお金が無くならない限り、銀行からお金をおろさないのと同じように、
血液中の糖や、一時的に保管してある脂肪酸が無くならない限り、中性脂肪を分解することはありません。
血糖値が高く、当面のエネルギー源があるうちは、インスリンはとてもよく働いて、中性脂肪を分解なんてさせません。
そしてインスリンは、糖が無くなってきても、すぐに中性脂肪を分解しようとはせず、食欲を出して新たな糖を欲するのです。
ここから、記事タイトルの『食べる前に運動』の話になってきます。
ダイエットにおいて、運動には、2つの効果が期待できます。
それは、運動して脂肪を燃焼させることと、血糖値の上昇による食欲の低下です。
実は、血糖値を上昇させるのは、糖を摂取したときだけではありません。
運動をしても血糖値が上がるのです。
その理由は、エネルギー源を確保するために、脂肪酸や中性脂肪を分解するからです。
つまり、空腹時に運動をすると、血液中に糖(エネルギー源)が無い状態で運動をしなければなりません。
それでは身体を動かせませんから、運動時のエネルギー源を確保するために、脂肪を分解するのです。
そしてこれが重要なのですが、
血糖値が高いとき(お腹が空いていないとき)は、この脂肪の分解が、かなり起こりにくいのです。
さきの銀行の例を思い出してください。
節約家の奥さんは、財布のお金が無くなったら、銀行から引き落として財布にお金を入れました。
【血液中に糖が無くなったら、脂肪を分解して糖を確保する】
しかし、財布にたっぷりお金があるうちは、お金を使うとしてもわざわざ銀行から引き落とすことはしません。
【血液中に糖があるうちは、いくら運動をしてもわざわざ脂肪を分解なんてしない】
節約して、未来に備える働きが、痩せにくくしているのです。
というわけで、ダイエットしたいなら、空腹時に運動をするのがよいということになります。
食前の運動について、いくつかのポイントや注意事項をまとめてみます。
・食前に運動をすると、脂肪を分解しやすくなり、血糖値が上がって食欲を抑えられる。
・運動による血糖値の上昇と食欲の減退は、運動強度が低度だと30分間くらい生じ、高強度だと1時間くらい続く。
・食後の運動は、血液中にエネルギーがたっぷりあるので、たくさん運動をしても脂肪の分解はほとんど起こらない。
・運動中と運動直後は、身体は【脂肪分解モード】にはなりますが、運動後30分〜1時間以上経過し、心拍数が安定化してからは、身体は【脂肪蓄えモード】に切り替わる。(そこで糖質を摂取したら、太りやすくなります)
・低血糖症などで体調に変動のある方は、空腹時の運動で目が回ったり、息苦しくなったり、倒れたり、重篤になることもある。(無理は禁物です!)
ちなみに今回の記事は、主に一般の方向けの話です。
特に学生やアスリートの方々は、筋肉など身体を成長させるために、効果的に栄養を摂取する必要がありますので注意が必要です。
今度はアスリート向けの運動と食事の関係について書いていきます。
※ダイエットに関しては、「脂質を抑えた方がいい」「インスリン分泌を抑えた方がいい」「〇〇を食べるといい」「〇〇は食べない方がいい」「どれも関係なくてカロリーを抑えた方がいい」などなど、相互で矛盾の生じる理論やデータが数多くあります。
僕が書いている理論も、それを否定するデータもあります。
結局のところ、個人差が大きすぎて決定的な方法は無いといっても過言ではありません。一例として参考にしていただければと思います。
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