photo by Michael Coghlan
「成長期に筋トレをしすぎると身長が伸びなくなる」というのは、本当なのでしょうか?
これは、ある意味本当なのですが、非常に極端なケースに限られた話なのです。
なので、これを議論するにはまず、
どんな筋トレをしたら「筋トレをしすぎた」と言えるのか?という部分を明確にしなければなりません。
例えば、健康的な小学6年生が、毎日腕立て伏せを100回したら、「筋トレしすぎ」になるのか?ということなどです。
結論から言いますと、
身体の不調さえ感じていなければ、これくらいでは身長が伸びなくなるほどの筋トレにはなりません。
身長を伸びなくしてしまうような筋トレというのは、もっともっと異常な筋トレです。
大人でも根を上げるような、超ハードなウエイトトレーニングを1日に何時間もするような筋トレです。
そして、そういった異常な筋トレをすると、必ずどこかに痛みや傷害が出ます。
いわゆる筋肉痛なら問題ないのですが、関節周囲の痛みや、腫れ、発熱などの症状が出てくるのです。
そういった症状があるにも関わらず、痛みを我慢してハードなトレーニングを続けたなら、それは骨の成長(身長が伸びること)を妨げる要因になるかもしれません。
つまり、冒頭で示した、
【どんな筋トレをしたら、「筋トレをしすぎた」と言えるのか?】の答えは、
身体の痛みを我慢しながら、ハードな筋トレを継続したら
となります。
そもそも、異常なトレーニングをしたところで、骨の成長を妨げるほどに、筋力を強くすることなどほぼ不可能なのです。
それだけの筋力がつく前に、
過度のトレーニングによる多大な負荷で、成長軟骨や腱の周囲などが傷害を起こし、痛みでトレーニングどころではなくなるからです。
そういった不調を起こさずに、骨の成長を無視して筋肉をつけることはできないのです。
人間のカラダは、そんな風にはできていません。
筋トレのしすぎで成長を妨げてしまうとしたら、その理由は、
「筋肉がつきすぎたから」ではなく、「多大な負荷によって、これから成長していく骨や関節を壊してしまうから」なのです。
トレーニングの大原則である、「ケガをしないように行う」ということを守ってさえいれば、
そのトレーニングのせいで身長が伸びなくなるなんてことは、まずありえません。
普通の習い事の、野球やサッカーなどのトレーニングにプラスして、自宅で自重トレーニング(腕立て伏せや腹筋)をしたとしても、それによって痛みや傷害が出ないのであれば、成長を妨げるような悪影響はないと言ってよいでしょう。
ひどい筋肉痛でも、1週間もすれば治ります。
安心してトレーニングをしていただきたいと思います。
こういった話をしても、「いや、でも筋トレをして、筋肉をつけ過ぎて身長が止まった人を何人も知ってるよ」という意見も耳にします。
これは誤った見解に基づいた意見なのですが、次回は、これについて科学的に説明していきます。
次の記事→『「筋トレすると背が伸びなくなる」と考えてしまう理由とは?』へ
※いわゆる筋肉増強剤などの薬を用いれば、成長を妨げるような異常な筋肉がつくこともあるようです。
※骨が弱かったり、成長障害があるなど、遺伝的な個人差によっては、上記のような自重トレーニングでも過度のトレーニングになることがあります。
※筋肉痛以外の、関節の痛みや、腫れや赤み、発熱などがある場合は、早めに医療機関を受診してください。
〜追記〜
成長期におすすめのトレーニング方法については、また別記事にて説明していく予定です。