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『先延ばし症候群』を改善する方法

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「あ~、レポートまとめなきゃな~。まあ、あと一か月以上あるし、まだいっか」と思っているうちに、間際になってあわてる。

「今日は午前中に掃除しなきゃ。でもその前に、Facebookをチェックして…」としているうちに、掃除はやらず仕舞い。

こういった”先延ばし症候群”の改善法をご紹介します。

先に結論を言うと、なかなか始められない人へのアドバイスは「とにかく始めろ」です。

当たり前すぎて読む気も起らないでしょうが、これから説明する知識を得るだけで、先延ばし症候群を改善することができるのも事実。試しに読んでみて下さい。

 

まず、先延ばしをしてしまう原因についてですが、一番の原因はヒト(動物)の心理的特性である「時間軸の短さ」にあります。

“時間軸が短い”というのは、短期的な思考だということ。ヒトは、長期的に将来のことを見据えているようで、実は、目先のことばかり考えているのです。

長期的にみると損をすると分かっているのにギャンブルに魅かれるのもそう。

給料日直後はお金持ちになった気分になるのもそう。

ダイエットがなかなかできないのも、貯金ができないのも、全部”時間軸が短い”ことが大きな原因の一つなのです。

 

ヒトを含め動物は、報酬(あるいは達成感)を手に入れるまでの時間が短ければ短いほど、その報酬はより貴重に感じます。言い換えれば、即座に手に入れられる満足は、遠い未来に得られる褒美や賞賛よりも価値が高いように”感じる”のです。

そしてこれはストレス回避にも言えることです。遠い未来に感じるであろうストレスよりも、直面したストレスの方が、より強いストレスだと”感じ”ます。(そう”感じる”のは、旧哺乳類脳から生じる無意識の情動による)

 

このような特性には、強い進化論的根拠があります。

石器時代の人々にとって、未来は予測できないものであるため、直面した状況に対処するのが得策だったのです。

獲られるか分からない動物を狩りに出かけるより、目の前にある果実を採る方が得策です。なぜなら今、その熟した果実を採らなければ、他の動物や昆虫、細菌類に奪われてしまう可能性が高いのですから。

そして、進化の過程で身につくストレス回避といえば、目前の危険(ヘビがいるぞ!熊がいるぞ!などの危険)への対処がほとんどなのです(目前の危険を回避する個体が生き残り、そうでない個体は死滅したということ)

これは動物を見るとよく分かります(飼っているペットを思い出して下さい)。動物は、将来のことなど考えてはいません。直面する状況に、その時その時の最善を尽くしているのです。

そして、これまで何度も説明してきたように、ヒトの行動のほとんどが、皮質下(旧哺乳類脳、爬虫類脳)から生じる情動によって突き動かされています。ということは、ヒトも、目先のことばかり考えてしまいがちなのです。

 

論理的で知的な大脳皮質(新哺乳類脳)を使って少し考えれば、今やるのも、後でやるのも、どちらのストレスも同等だと理解できるでしょう。

さらに、先延ばしにしてしまうと、「早くやらなきゃな…」という持続的ストレスを感じることになります。そのため、先延ばしにする方がストレス過多になるのは目に見えているのです(実はこの、”持続的ストレス”が一番心と身体に悪い!)。

つまり、長期的にみてストレスを最小にするという観点からすると、「今やるのは嫌だ!先延ばしにしたい!」という情動の方が”間違っている”のです。(直面した状況から判断する旧哺乳類脳が間違うのも無理はない)

しかし頭で「間違っている」と認識したところで、その論理的思考は情動を動かすことができません。そのため、「嫌だ!不快だ!」という情動に打ち負かされてしまい、結局やらず仕舞いになってしまうわけです。

 

情動というのは、何をするにもとても強力な動機になります。

それに打ち勝つのは容易ではありません。頭だけで考えて、情動を抑えようとしたところで、その情動は治まらないでしょう。

しかし、情動を治めたり、変化させる方法もあります。

それが、今感じている情動は、実は少し間違っているのだと認識(自己分析)しつつ、行動に移すこと なのです(闇雲に行動に移しても、その効果は薄い)。

過去記事『ヒトには自由な意思が存在しない』にて説明したように、心(情動)は身体活動の後からついてくるものです。

行動をはじめれば、意識はその行動へ移り「やりたくない」という情動は変化します。そしてやり終えたなら、持続的なストレスからは解放され、すっきりとした達成感で心地よくなるでしょう。

カールトン大学の心理学者ピチル氏は、この「行動をした方が気分が良くなる」ということを研究により実証しています。

大学生45人の学生にポケットベルを与えて、5日間に40回連絡をとり、締め切りがある課題をどのくらいの頻度で後回しにしたかを尋ねた。そして、そのときどきの彼らの気分を記録した。

この研究では、課題を行う前に「自分が課題を行うこと」をイメージしてもらい、予めそのストレス度を記録していました。そして、実際に課題を行った際のストレス度と比較したのです。

すると、課題に対するストレス度に大きな違いが見られた。「学生たちが避けていた課題を実際に始めてみると、内容に対する認識がはっきりと変わることがわかった。多くの場合、彼らは実際に楽しんで取り組んでいた」

ヒトは、ある仕事が嫌に感じても、その仕事を実際に行ってしまえば、「予測していたよりも嫌な仕事ではなかった」と感じるのです。(※もちろん、ふんぞり返ってダラダラと行ったのでは”いやいや感”が増幅してしまうでしょう。嫌だからダラダラしているのではなく、ダラダラしているから嫌になるのです)

 

そして、この事実を知った人は、以前よりも”先延ばし症候群”を改善できたという報告もあります。

「いやだけど、やるか…」と、やり始めるのと、

「いやだと感じているのは、実は間違いだ。やり始めればそんなに嫌なことではないんだ。やろう」と、やり始めるのとでは、仕事効率が違ってくるものです。

 

 どうせやらなければならない事なら、自己を認識し直し、姿勢を正し、先延ばしせずにその課題に取り組みましょう。

そして、できるだけストレスを回避したいのなら、パソコンを閉じ、テレビや音楽を消し、目の前の課題に集中できるシチュエーションを整えるのが得策です。(快感を感じさせてくれる誘惑が目につくと、目の前の課題と比較してしまい、課題がより嫌なものになってしまう)

心(情動)を変えるには、やはり、行動することなのです。

 

次回は、「それでもできない!」という人へのアシスト要因を説明します。

 

→次の記事『「がんばれ」という言葉の力』

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“『先延ばし症候群』を改善する方法” への 2 件のフィードバック

  1. 俺はそんなに先延ばしするほうではなかったけど、いまや本当に先延ばししないです。やるべきことがある、はい、やる。すぐやる。 そのやるべきことがいかに面倒か、時間がかかるか、頭を使うか・・・そういう妄想をとめて作業を坦々とやる。 メールの返事、すぐ打つ(気づかない時は別だけど) 会議の資料、すぐまとめる。 もう思考なんてね、邪魔以外の何者でもない。それをとめりゃあストレス知らずの幸せが手に入る。 先延ばし心理の事実を知ってそれが起きてることに気づければいいね。 わかる人にはすぐわかる。 「そんなこといっても難しいよね」って人にはやっぱり難しい。

    1. 僕もだいぶ減りはしましたが、まだまだといった感じです。それで「あ~やらなきゃな~」と無暗に考えてストレスを感じることはなくなりましたが。

      ちなみに、「情動を治めたり、変化させる方法」として、行動することを挙げましたが、いずれその強力な方法として『瞑想』を説明していくつもりです。
      科学研究によると、万人受けして比較的簡単に実行できるものが『身体を動かすこと』で、『瞑想』は難しい(効果を実感する前に挫折する人が多い)らしいです。
      でも、長期的にみると、行動より瞑想の方が優れていることが示されていました。
      仏教すごいです(゚∀゚)

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