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脳を鍛える!子どもの体力づくり(2/4)

前回記事『脳を鍛える!子どもの体力づくり(1/4)』のつづき。

今回は、

①脳を鍛える
◆0時限体育プログラムの効果

についてです。(講演資料↓)

講習資料画像

 

ヒトは、進化の歴史において、食物を得るにも、危険を回避するにも、子孫を残すにも、身体を動かさなければなりませんでした。

そのため、身体を動かすことと学習することはイコールなのです。

それはつまり、脳にしてみれば、身体を動かさないことは、学習する必要がないことを意味しているのです。
(※四肢が不自由でも、口の運動や、瞬きで学習することもできます。動かせる場所を動かさないことが、脳を減退させてしまうようです)

 

IMG_0502

 

◆0時限体育プログラム◆

アメリカのネーパーヴィル・セントラル高校で行われた、0時限体育プログラムについて紹介します。

行ったことはとっても単純で、
学期初めにテストをし、読解能力の点数が低かった子を集めて、1時限の授業の前に走らせたのです。

1時限の授業の前に行われる体育だから、0時限体育ということです。

そして1時限の授業で、苦手な読解能力の授業を受けました。

結果はどうなったのかと言いますと、
学期末に再びテストを行ったら、0時限体育を受けている子どもたちは、平均して17%も成績が向上していたのです。

実際に授業を受けた生徒たちにアンケートをとると、
「集中力も記憶力も高まる気がした」という意見もあったようです。

 

なぜ、そうなったのでしょうか?

0時限体育プログラムを受けた生徒たちの脳では、何が起こっていたのでしょう?

 

その答えは、BDNFという脳内物質にあるようです。BDNFが、学習効果を高めていたのです。

IMG_0504

これは研究室の中では以前から知られていたことでした。

シャーレに脳神経細胞を入れ、そこにBDNFを垂らすと、脳神経細胞は新しい腕を伸ばして、周りの神経細胞と手を繋ごうとするのです。

学習する時に脳内で起こっているのは、まさに、神経細胞の繋がりができていくことです。

このBDNFが、神経の肥料となって、神経の繋がりを助け、学習効果を高めるようなのです。

 

そして、BDNFの分泌を促すのが、運動なのです。

 

これは、マウスやラットの実験でも、人間でも確認されている効果で、運動をすることで脳内にBDNFが分泌され、その後の学習効果が高まることが知られています。

 

 

僕がこの研究で面白いと思ったことは、その運動の効果もそうですが、体育の評価の仕方でした。

普通の体育は、足の速さなどの運動能力の高さで評価します。

しかし、ここでの評価基準は、平均心拍数の高さだったのす。

生徒全員に心拍計を付けて走らせ、平均心拍数の高い生徒ほど、高い評価を与えたのです。

そうすることで、例え足が遅くても、頑張った分だけ評価されることになり、モチベーションを維持させる効果があったようなのです。

 

僕は、学校の授業の中で、
体育ほど、努力の甲斐がなく評価されるものはないと思っています。

おそらく、足の遅い子は、速い子の何十倍も努力したって、全く努力をしない足の速い子に勝つことはできなのです。
(※ここに差別的な意味合いは全くありません→『生まれつきの優劣に対する個人的な見解について』

この努力が報われない感覚は、やる気を削いでしまうかもしれません。

しかし先程書いたように、平均心拍数で評価するとなれば、どんなに足が遅くたって、頑張った分だけ評価されることになります。

こういう評価の仕方はとても面白いと思いました。

 

僕は、そういった体育の工夫や、遊びの工夫で、もっと子どもたちに運動をしてもらいたいです。

そして、運動してから勉強をすると、学習効果が高まるということを知ってもらいたいです。
(知識を得ることでその効果がより高まることは前回記事で説明した通りです)

 

そのためにまず、親御さんたちに、
「運動は、身体にはもちろん、脳にもよいものだ」
ということを理解していただいて、子どもたちにもその知識を植え付けて欲しいです。

運動は、どんな薬よりも万能です。

大げさに聞こえるかもしれませんが、
子どもたちに、生涯を通じて運動を習慣化していけるように導いていければと思います。

 

さて次回は、現代っ子に足りない体力について説明していきます。

 

続き→『脳を鍛える!子どもの体力づくり(3/4)』

 

 

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