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人類史から見た健康

photo by The British Library

 

前回記事『背が伸びる要因とは?太る要因とは?』の続きですが、背を伸ばすための方法論に入る前に、石器時代の話をします。

 

600万年の人類の歴史は、そのほぼ全てが狩猟採集生活でした。

文明が始まったのは、たったの1万年前です。

そして、現代の日本のような飽食の時代が訪れたのは、ほんの数十年前、人類史の0.001%ほどなのです。

 

何が言いたいのかと言いますと、進化生物学の観点からすると、
「現代人の身体や脳は、狩猟採集生活をしていた時代を基本としてできている」ということです。

つまり、狩猟採集生活に最適化されているわけです。

そのため、できる範囲で「石器時代の狩猟採集生活における理想的な生活」をすることで、身体はもっとも健康になると考えられるのです。

 

というわけで、石器時代の人類の話を。

 

まず、原始人類の平均身長は90cmで、寿命も40歳くらいだと言われています。

 

これを聞いて、「今の方が背も高いし、寿命も長いじゃん」とは思わないでください。これにはカラクリがあるのです。

どういうことかと言いますと、狩猟採集生活をしていた原始人類は、成人まで生き残る割合が、10人に3人だったのです。

亡くなった子どもの身長や寿命を、成人まで生き残った人と合わせて、全て平均化するとどうなるでしょう?

もちろん、平均身長は低くなり、平均寿命は低年齢となります。

平均年齢が40歳だと言われると、90歳まで生きるヒトがいるなんて思えません。思えなくさせるのです。

でも実際のところは、
成人まで生き残ったヒトに限ると、平均身長は183cm、典型的な寿命も66〜91歳で、高齢期でも健康に生きていたようなのです。

 

さらに、原始人類は、“子殺し”を日常的に行っていたようで、それも数字的な平均身長や寿命を押し下げる要因になっていました。

子殺しは、限られた食物を集落内で分配するための措置だったと考えられています。

ちなみに、子殺しをしなくなった農耕時代に入ると、人口が増えた分の食物を得るために他人の土地を奪うことに繋がっていきました。それが戦争の始まりとも言われます。
「子殺しなんて酷い!」と思うか、「自分の子どもを飢えで死なせるよりは、他人の土地を奪う方がマシだ」という考えの方が酷いと思うか、その解釈は人それぞれだと思います。

 

一方で、農耕時代に入ってからは、子殺しが亡くなった分、(数字的には)平均身長と寿命が伸びました。

しかし、成人まで生き残った人に焦点を当てると、平均身長も寿命も縮んでいるのです。

その理由は、
農耕の獲得によって生じた、偏った栄養、過酷な労働、ストレス、疫病などさまざまだと言われています。

 

現代に入って、それがようやく改善されてきましたが、
現代人は未だに、狩猟採集生活をしていた原始人類より、健康ではないようなのです。

 

衝撃的ではありませんか。

現代人が健康ではない理由は、おそらく、進化の歴史に見合わない生活をしているからなのです。

冒頭で示したように、人類は狩猟採集生活に最適化されています。

全てをその生活に移行することは不可能ですが、できる範囲で近づけていくことが、健康への近道なのかもしれません。

 

そんなわけで、今回は全くホルモンの話をしませんでしたが、ホルモンを語る上での基礎知識として、僕自身が確認したい内容でした。

次回こそは、ホルモンの話をしていきます。

 

今回記事の、主な参考文献↓
性の進化論――女性のオルガスムは、なぜ霊長類にだけ発達したか?

人間の根源を知ることができる、とってもおすすめの本です。

 

“人類史から見た健康” への 3 件のフィードバック

  1. 進化論的な話最高です。
    子殺しについて語りたい気分です。
    いつかお願いします。

    1. コメントありがとうございます。

      利己的な遺伝子でも、子殺しは出てくるよね。
      「自身の遺伝子を残すという目的のために子殺しをする」という一見矛盾しているかのような行動。

      奥深いです。

  2. 利己的な遺伝子は読みきれませんでした(笑)
    途中でリタイアです(笑)

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