この記事は、
『筋トレすると背が伸びなくなる、は本当?』
『「筋トレすると背が伸びなくなる」と考えてしまう理由とは?』の続きです。
身長に関する質問で、
「バレーボールやバスケットボールをすると、背が伸びるんですか?」という質問も受けることがあります。
実はこれも、過去記事、『「筋トレすると背が伸びなくなる」と考えてしまう理由とは?』で説明したのと同様、誤った解釈なのです。
今回は、それについて説明していきます。
では、同じ体育館で、
小学生、中学生、高校生、大学生のバレーボールチームが練習していると仮定して、その様子を見てみましょう。
まず、小学生のバレーボール選手を見てみると、背があまり高くない選手も多いです。
しかし、中学生の選手を見ると、背が高い選手の割合が少し多くなります。
そして、高校生を見ると、もっと背が高い選手が多くなり、
さらに大学生に目を向けると、ほとんどの選手が、背が高いです。
上の結果だけを見ると、年代が上がるにつれ、背が高い人の割合が多くなるので、
「やっぱり、バレーボールをすると背が高くなるのだ!」と結論づけてしまうかもしれません。
しかしです。科学的には、別の視点からも考察していくのが鉄則です。
その1つが、【逆の視点】です。
それは「背が高いからバレーボールをやっている」ということです。
バレーボールは、基本的には背が高い方が有利です。
例えば、バレーボールで、打ち下ろしの強力なスパイクを打つとします。
下図の上のような位置から、強力な打ち下ろしスパイクを打つとすると、コート内で狙えるスペースは赤い部分のみです。
しかし、上図の下を見て下さい。
下の女の子は、10cmくらい身長を高く描きました。ジャンプの高さは同じにしてあります。
上図の下のように、10cm上から打てるとすると、コート内で狙えるスペースは青い部分くらい大きく広がるのです。
これは大きな違いでしょう。努力ではなかなかカバーできない部分です。
バスケットボールでも、
外したシュートのこぼれ球をリバウンドするにも、パスを回すにも、シュートを打つにしても、背が高い方が選択肢が広がるでしょう。
こういった、【背が高い選手の方が有利】という事実から、背が高い選手の方が、長く競技を続ける傾向にあるようなのです。
その結果、背が高い選手が競技者として残っていくことになり、そこだけを見ると、「バレー(バスケット)ボールをすると背が高くなる」ように思えてしまうのです。
ちなみに、「器械体操をすると背が伸びない」という噂も、同様に説明できます。
体操は、縦にも横にもくるくる回るスポーツです。
そのため背が高いと、回転効率が悪くなり、同じ技をするにも難易度が上がってしまうのです。
つまり、背があまり高くない方が有利だから、背が低い選手が多いのです。
他にも、ウエイトリフティングも背が高いと不利ですので、背が低い選手が多いですし、
走り高飛びは背が高い方が有利ですので、背が高い選手が多いです。
いずれも、その競技をしているから、背が伸びたり、伸びなかったりするのではないようです。
そういうわけで、僕は昔、器械体操をしていましたが、僕の背が低いのは、体操のせいではないと思われます(笑)
さてこれまで、「トレーニング内容や、取り組むスポーツの競技によって、身長が伸びたり伸びなかったりすることはない」ということを説明してきました。
しかし、身長が伸びなくなる要因、伸びる要因というのは確かに存在します。
次回からは、「背が伸びる(伸びなくなる)要因は何なのか?」ということについて、科学的に分かっている範囲で説明していきます。
次の記事→『背が伸びる要因とは?太る要因とは?〜ホルモンの話〜』