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クロスカントリースキー用、体幹〜上肢トレーニング

今回は、『クロスカントリースキーのストックの使い方を科学する(2/2)』へ頂いた、以下の質問への返答記事になります。

クロカン(クロスカントリースキー)の動画を見ていると、ダブルポールでもスーパースケーティングでも肘を曲げたまま短いストロークで後方に素早く両腕を押し出しています。
この時に使う筋肉はどことどこなのでしょうか? そしてどのようなトレーニングをすれば,短いストロークで強く後ろに押し出せる力をつけることができるのでしょうか?

もしよろしければ参考になるトレーニング方法を教えて頂けないでしょうか。器具を使わないトレーニングを希望しています。

 

まず、うちのトレーニングスタジオで実際にやっているのは、下のようなサスペンショントレーニングです。

↓前向きストロークを30秒

 

15秒休憩。

 

↓後ろ向きストロークを30秒

といった感じで、計3回ずつを1〜3セットくらいします。

詳しく説明しますと(選手にもよりますが)、最もハードなトレーニングとしては、
前30秒、休憩15秒、後30秒、休憩15秒、
前30秒、休憩15秒、後30秒、休憩15秒、
前30秒、休憩15秒、後30秒。を1セットとし、セット間の休憩は2分で、3セットという感じです。

選手のレベルに合わせて、サスペンションの高さや足の位置を調整したり、トレーニングの回数を変えたりしますが、だいたいこんな感じです。

ちなみに、めちゃくちゃキツイです(笑)

 

質問の内容は、「器具を使わないトレーニングを」ということでしたので、上記のトレーニングで器具を使わない方法を説明します。

ちなみに、器具を使わないトレーニング動画だけを載せると、動きのイメージが湧きにくいと思いましたので、記事冒頭のサスペンショントレーニングも紹介しました。

サスペンショントレーニングの動きのイメージを持ちつつ、下動画を見ていただきたいと思います。

 

まずは、前向きストロークのトレーニングです↓

もう一度、サスペンショントレーニングを見てみてください。

動きとしては、マットで行うトレーニングだと、肩の可動域が小さくなってしまいますが、
マットで行う際も、上動画のサスペンショントレーニングのようなイメージで行ってください。

もっとも重要なポイントは、一度カラダを持ち上げて落とした時に、
腰が落ちたり、胸が床に当たったりしないよう、しっかりと体幹部の大胸筋や腹筋でカラダを支えることです。

一瞬で支えることが大切で、グニャッと腰が落ちたり、ゆっくり支えるのではダメです。

なぜなら、一瞬でグッ!と支えないと、腱反射を使えないからです。

腱反射というのは、筋肉につながっている腱が、一気に引き伸ばされることによって生じる反射で、
その反射を利用できると、一瞬で、楽に(腱反射を使わないよりは楽に)、強力なエネルギーを発揮することができます。

グッ!と一瞬で支えると、体幹〜上肢の腱が引き伸ばされ、腱反射が生じ、そこから押し戻す筋力を一気に発揮することができるのです。

短いストロークで素早く、力強く行うには、この腱反射を使うことは必須です。

それを利用するように、一瞬で支え、バネのようにカラダを持ち上げます。

 

そしてもう一つ大切なのが、無駄な力は抜くということです。

体幹〜肩は、支える瞬間大きなパワーを使いますが、手は(特に腕から下)できるだけリラックスしています。(動画でも、手は強く握り込んだりせず、リラックスさせているのがわかるでしょうか)

もちろん、実際はストックを持ちますし、腕の力も使います。(主にホールド力として使います)

しかし、もっと使うべき筋肉は、大胸筋や腹筋群の大きな筋肉です。
こういったトレーニングで、それらの体幹の筋肉をしっかり使い、腕に無駄な力が入らないようにすることで、実際の滑りでも無駄な力が抜けて、エネルギー効率も上がると思います。

 

 

次に、後ろ向きストロークのトレーニングです↓

肘で支えて、肩関節を使って上体を起こします。

これは、腕を使っているように見えるかもしれませんが、使う筋肉は主に、広背筋と三角筋(後部)の大きな筋肉です。

注意点は、肩(肩甲骨)が上がらないように、むしろ引き下げながら後方へ腕を引くということです。

なぜなら、肩甲骨を引き下げないと、広背筋を効率的に使えないからです。

肩が上がらないように、背中で引くくらいのイメージで行ってください。

 

それからやはり、腕には無駄な力が入らないよう、力みすぎないように注意しながら行っていただきたいと思います。

 

どんな競技でも、僕が選手に何度も何度も話していることは、
「最小限の力で、最大限のパフォーマンスを発揮する」ということです。

一流選手と、一般の選手を、脳波や筋電図を使って比較すると、一目瞭然の違いがあるのですが、
それが、「使っている領域の広さ」なのです。

一般の選手は、脳波を見ても、筋電図を見ても、広範囲が活動しっぱなしで、見るからに効率が悪そうです。
しかし一流選手は、「え!?これしか脳波出てないの?」ってくらい、狭い範囲しか反応せず、筋肉も動作に合わせて流れるように収縮と弛緩を繰り返し、本当に無駄がないんです。

特に筋力トレーンングをすると、力みすぎて、本来なら使わなくても良い筋肉まで力が入りながらトレーンングしてしまう選手が多いです。

目的は筋トレではなく、競技のレベルを上げることですので、そういったトレーンングから、
「最小限の力で、最大限のパフォーマンスを発揮する」ということも意識していただくと、より効果的なトレーニングに繋がると思います。

 

ぜひ、お試しください。

 

さて、こんな感じで、質問にお答えして記事を書くこともあります。

質問の内容によってはお答えできないこともありますが、可能な限り説明していきます。(「専門的に、よく詳しく説明してくれ」と言われれば、うざいくらい細かく説明します。)

質問やお問い合わせは、この記事のコメントでも、お電話でも、LINE@でも構いません。お気軽にどうぞ。

 

→次の記事『現代社会では意志力が弱まるばかり!?』へ(次回は1/19に更新予定です)

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“クロスカントリースキー用、体幹〜上肢トレーニング” への 4 件のフィードバック

  1. 息子が中学校でクロスカントリースキーをやっています!
    分かりやすい説明と動画でスッと入ってきました。子供にも見せたいと思います(*^^*)ありがとうございます!!

    1. ヤナギ カズヒロさん コメントありがとうございます。

      かなりキツイですが、その分、しっかりできれば効果はバッチリだと思います!
      ぜひお試しください(´∀`)

  2. 動画を作成していただき、有難うございました。
    動画ですとトレーニングのイメージが掴みやすくとても参考になります。
    ちょっとやってみましたが、なかなかうまく体が動きませんし、とてもハードです。
    身体のあちら、こちらに力みが入ってしまいます。「無駄な力は抜く」とのご指摘ですが、これが本当に難しいです。「脱力」は私の長年の課題です。
    いろいろとありがとうございました。

    1. 弾むようにカラダを動かすのは、慣れないと難しいと思います。

      キツイようでしたら、はじめは膝つきでするなど、負荷を軽くして動きを覚え、徐々に負荷を上げていくとよいと思います。

      力を抜きつつ、入れる瞬間はしっかり入れるというのは、口で言うのは簡単ですが、本当に難しいことだと思います。
      それでも、意識してトレーニングするだけでも違ってきますので、少しずつ頑張ってみてください!

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