photo by Emilio Labrador
運動中に肉離れや捻挫などをした際や、トレーニング後に筋肉痛を起こした際に、よく周りの人から言われるのが、
「ストレッチをちゃんとしたのか?」というものです。
ストレッチをしていれば、それらを防げただろうというわけです。
それくらい、ストレッチには大きな効果があると考えられているように思います。
しかし、ここ十数年の研究報告によると、ストレッチの効果はほとんど無く、場合によっては悪影響が出ることもあるようなのです。
ストレッチが無意味だとは言いませんが、目的に合わせて正しく行わないと逆効果になることもあるのです。
僕自身の再確認のためにも、これから数回、ストレッチに関する最新情報をまとめていきたいと思います。
主な内容は3つ。
・ストレッチはケガ予防にならない?
・ストレッチには疲労回復の効果がない?
・柔軟性を高めても競技パフォーマンスは上がらない?
今回は、『ストレッチはケガ予防にならない?』について説明していきます。
まず、ストレッチの定義からですが、
この一連記事で言う“ストレッチ”というのは、静的ストレッチのことです。
静的ストレッチというのは、いわゆるストレッチ体操で、記事冒頭の画像のような感じです。
足を伸ばして前屈して10秒止めるとか、開脚して10秒止めるとか、
関節を可動域いっぱいまで広げて筋肉を伸ばし、そのまま止めるようなストレッチです。
結論から言いますと、
この静的ストレッチは、運動前に行うべきではないのです。
その理由は、静的ストレッチによって、脊髄反射の低下と、筋肉の緊張度合いの低減を起こしてしまうからです。
(Guissard and Duchateau. 2006)
その結果生じるのは、筋肉の反応速度(特に瞬発力)の低下と、最大筋力の低下です。
これは多くの研究報告から裏付けられており、かなり信頼度が高い情報だと思います。
(Springer and Sports Medicine “The effects of strength on strength performance” E.C. Rubini, A.L. Costa, and P.S. Gomes 2007)
運動前に静的ストレッチ(ゆっくり筋肉を伸ばすようなストレッチ体操)をしても、ケガ予防にはなりません。
そればかりか、反射(反応)が遅れ、筋力が低下するために、転倒事故やケガの発症率を上昇させ、競技パフォーマンスも低下させてしまうかもしれないのです。
基本的にうちのトレーニングスタジオでは、準備体操でストレッチはしません。
できるだけ無駄を省いた、時間を有効に使った準備体操をしたいからです。
そこで次回は、効果的な準備体操について説明していきます。
(※ストレッチ関連記事とは別記事になります。)
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