photo by Tony Alter
効率的な準備体操って、どんな運動なのでしょうか?
答えから言いますと、 運動神経系を準備するような運動です。
筋肉などのカラダの準備よりも、カラダをコントロールする脳脊髄神経、特に運動神経の準備が大切なのです。
前回も書きましたが、一般的によく考えられているのが、
「準備体操でカラダ(筋肉)を柔らかくしていないからケガをする」とか、
「準備体操でカラダを温めてほぐしてないからパフォーマンスが上がらないのだ」といったものです。
つまり、カラダの方に原因があって、ケガをしたり、パフォーマンスが上がりにくかったりするのだと考えられているわけです。
しかし僕は、そうは思いません。
ケガやパフォーマンス低下の真の原因は、運動神経系の誤作動にあると考えています。
筋肉が硬いから動きが悪いのではなく、筋肉の動きをコントロールしている神経系が上手く機能しないから動きが悪くなるのです。
その結果、ケガも増えるし、パフォーマンスも低下します。
そもそも、脳(運動神経系)は、主に2つのやり方で、カラダを痛めるような動きはしないように制御をかけています。
①全力を出さない
基本的に筋肉は、100%の力を出してしまうと、損傷してしまう可能性がとても高くなるので、
脳は制御をかけて、70〜80%の力を“意識的な全力”に設定しています。
いくらあなたが、思いっきり手を握りしめたとしても、平常時に100%の力を出すことは不可能なのです。
(※火事の時や、命の危険を伴うような緊急事態には100%の力を発揮できたりします。それが【火事場の馬鹿力】です。)
②分散させる
ひとつの動きでも、複数の筋肉が同時に、協調的に働くことで、ケガをしてしまうような負担がかからないように動かしています。
ひとつひとつの筋肉が収縮する順番も、ミリ秒単位で制御されていて、かなり複雑に、精巧に働いているのです。
脳はまた、日によって違うコンディションも(無意識に)把握しています。
疲労がたまっていたり、痛めている筋肉や関節など、筋力の弱い部分に負担がかからないような制御もかけているのです。
これが、運動神経系の高度な作用です。
もし、運動神経系が誤作動を起こし、
筋肉や腱を痛めてしまうような100%の力を出してしまったり、負荷をひとつの筋に集中させてしまったり、筋肉が働く順番がデタラメになってしまったら、例え柔軟性に優れていても肉離れや腱断裂、関節の損傷が簡単に生じてしまうことでしょう。
一方、いくらカラダが硬くて、筋力が弱いとしても、
運動神経系がそれ相応の働きをしてくれたなら、ケガをすることもないですし、パフォーマンスも最大限まで高めてくれるのです。
準備体操は、その運動神経系を活性化するためにするべきなのです。
ここまでをまとめると、
ケガやパフォーマンス低下の主な原因は、カラダの硬さではなく運動神経系の誤作動による。
その運動神経系の誤作動を起こさないよう、準備体操で運動神経系を活性化させる。
ということです。
次回こそ、具体的な準備体操について説明します。
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