photo by Brian Harries
自分で自分にマッサージやストレッチをするにあたって、気をつけて欲しいことがあります。
それは、「あまり強くしてはいけない」ということです。
マッサージをしていると、大抵の場合はどんどん強くなってしまうのです。それも無意識に。
プロがマッサージをする場合でさえ、無意識に強くマッサージしてしまうことが確認されています。
あんまり強くしてはいけないと分かっているのに、ついつい強くなってしまう。
その原因と対策を考えるため、今回から数回に分けて、
「なぜ強くマッサージしてはいけないのか?」
そして、「なぜ強くなってしまうのか?」という部分まで掘り下げて話をしていきます。
その理由を説明する上で理解していただきたいのは以下の3つです。
『痛みの閾値(いきち)』
『感覚抑制』
『筋肉の防御反応』です。
またいつものごとく専門用語を出しましたが、
とってもおもしろい(と僕が個人的に思う)カラダの不思議の話です。
では本題へ。
まず、痛みの閾値というのは、痛みを感じる境界線のようなものです。
例えば、腕の筋肉を優しく押して、だんだん力を強くしていくとします。
すると、圧力がある強さを超えたときに「痛い」と感じます。
下図は、だんだん押す力を強くしていった時のグラフです。(グレーの曲線が押す強さ、縦軸が圧力の強弱、横軸が時間の流れです)
上図の赤いライン(境界線)が、痛みの閾値です。
刺激の強さが、この閾値を超えると、「痛い」と感じるのです。
そして、ここからが重要なポイントなのですが、閾値は変化するのです。
これは、まったく同じ刺激でも、痛いと感じるときもあれば、そうでない時もあるということです。
下図は、閾値が上昇した状態です。
これだと、かなりの刺激を与えても、「強く押されているな」ってくらいで、「痛み」を感じることはありません。
一方、下図のように閾値が低下していると、ほんの少しの刺激で「痛い」と感じるようになります。
全く同じ刺激でも、痛みを感じることもあれば、そうでないこともあるのです。
それは、痛みの閾値の変化が大きく関わっているということです。
次回は、上記を踏まえた上で、“痛みの強さ”を基準にマッサージしない方がいい理由について説明していきます。
次の記事へ→『“痛みの強さ”を基準にマッサージしない方がいい理由』