前回、『吊り橋効果』について話したので、その流れで『ロミオ&ジュリエット効果』についても簡単に説明します。
これは、周りの人たちに反対されればされるほど、その恋が燃え上がるというものです。
この愛情の高まりにも、吊り橋効果と同様に、恋愛とは無関係な情動が作用しているのです。
人は、意見や行動を非難されると、旧哺乳類脳から”怒りの情動”が沸き起こります。すると、交感神経優位となり、緊張して心臓はドキドキし、恋愛感情を抱いた時と同様の身体反応を示します。
そして、その情動が高まっている時に、恋人を想像したなら、「怒りの情動」に「恋愛感情の情動」が乗算し、新哺乳類脳は「こんなにドキドキするほど愛しているんだ!」と理由付けするのです。(※旧哺乳類脳、新哺乳類脳についてはこちら→『ヒトには三つの脳がある』)
友人知人の、”本当に止めさせたい恋愛”を止めさせたいのなら、感情を高ぶらせるような非難はしないほうがよいようです。
恋愛話ついでに、もう一つ。
映画『スピード』のような、高度のストレス状態で情動が高まっている男女は、恋愛に発展しやすく、かつ、その後の関係は上手くいかないことが多いようです。
理由は、その人柄に恋愛感情が高まったわけではなく、状況による情動が乗算されているからこそ、強い恋愛感情を感じたからです。
つまり、その興奮状態から脱すると、状況による情動は差し引かれ、「あれ?急に恋愛感情が冷めてしまった。あんなに魅力的に感じたのに、なんでだろう?」と思うのです。
人は時に、ドラマチックな体験による恋愛を夢見ますが、何でもない、些細な日常で育まれた恋愛こそ、本物の愛情に発展するのかもしれません。
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