photo by John Mayer

他人からこちょこちょされると、とってもくすぐったいのに、
自分で自分にこちょこちょしてもくすぐったくないのはなぜでしょう？

今回は、その理由をもとに、セルフマッサージの注意点について説明していきます。

過去記事
『セルフマッサージやストレッチをするにあたって、知っておいた方がよいこと』
『痛みの強さを基準にマッサージしない方がいい理由』
『マッサージしたのに、悪化しちゃう！？』
『マッサージしたのに、緊張しちゃう！？』の続きです。

自分で自分にこちょこちょしてもくすぐったくない理由。

それは、「外からの刺激に対しては、より敏感になるから」なのだそうです。

自分で自分にこちょこちょした時の感覚が、本来の感覚です。
それを他人からされると、本来の感覚以上に、より敏感に反応して、くすぐったく感じるのです。

これは、くすぐることだけでなく、どんな感覚でも同じです。

《自分で行動をした時の感覚》と比較すると、《他者から受ける時の感覚》の方が、より強く、より大きく、より敏感に感じるのです。
（※「外からの刺激に対して敏感になるから」の他に、「自分で行動を起こした感覚刺激は抑制されるから」という説もあります。どちらにせよ、自分で行動して感じる感覚刺激より、他者から受ける時に感じる感覚刺激の方が強く大きく感じるという点では同じです。）

ちなみにそのせいで、ケンカのエスカレートが起こります。

例えば、「人のお尻を10キロの力で叩く」とします。

叩く人（Aさん）は、10キロくらいの感覚が手に感じるように叩きます。バシッ！

一方、叩かれた人（Bさん）は受ける側なので、敏感になります。つまりその刺激を強く大きく感じてしまい、12キロくらいの力で叩かれたと感じます。

ここで、「痛ってーな！お前と同じ強さで俺も叩いてやる！」とBさんがやり返したとします。

Bさんは、自分が叩かれた感覚である、12キロの感覚が手に感じるように叩くでしょう。
だって、12キロの力の痛さを感じたのですから。

しかしです。今度は、Aさんが受ける側なので、その刺激を大きく感じることになります。
そのため、Bさんが12キロの力で叩いたなら、Aさんには14キロくらいの力で叩かれたような感覚があるのです。


そうなれば、「痛っ！！そんなに強くしてねーだろ！今のお前の強さ、これ位だったぞ！」と、今度は14キロの強さで叩き返すことでしょう。

するとBさんには16キロくらいで叩かれたと感じて…

これで、ケンカのエスカレートの完成です。

どちらも、同じ強さで仕返ししているつもりなのに、より強く仕返ししてしまっているのです。
そんなことをされたら、ムカついてケンカになってしまうのも無理はありません。

こんな感じで、自分で行動した感覚より、他者からの感覚刺激の方が、より敏感に強く感じるのです。

そしてこの感覚が敏感になるのは、痛みだけではありません。

快感も同様です。

人にマッサージをされる方が気持ちいいのも、人に頭を洗ってもらう方が気持ちいいのも、このためです。

ここでまたマッサージの話に戻るのですが、
人にマッサージしてもらった時の気持ちいい感覚というのは、強さも、気持ち良さも、より敏感に強く感じているのです。

ということは、人にしてもらったのと同じ感覚で、自分で自分にマッサージするとなると、より強いマッサージになってしまうのです。

セルフマッサージの注意点について、これまでの記事をまとめると、

他人からの刺激と、自分で行う感覚との相違によって、セルフマッサージではより強いマッサージになりやすく、
痛みの閾値の上昇によって、さらに強いマッサージになりやすい。

そして、刺激の強いマッサージは、筋肉などの組織を壊してしまうことがあったり、
交感神経を刺激して、より筋肉を緊張させてしまうことがある。

ということになります。

長くなりましたが（本当はまだ他にも理由があるのですが、長過ぎるので省略します）、こういった理由から、

セルフマッサージは、ちょっと物足りないくらいにしておいた方がいい。

と僕は考えています。

よろしければ参考にしてみて下さい。

さて次回も、今回の「外からの刺激に対しては、敏感になる」ということから繋げた内容になります。
僕が東京の接骨院で働いていた時に、スタッフから実際に受けた質問「何で茶髪じゃダメなんですか？」について、僕なりの答えを書いていきます。