025-768-4071

営業時間:月曜日〜土曜日
午前8:00〜12:00
午後14:00〜19:00
※受付は終了30前です

特性5因子 『経験への開放性』~詩人~

photo by See-ming Lee

今回は、性格診断【特性5因子】の開放性についてまとめました。

※特性5因子診断をされていない方は、先に→コチラ←で診断をしてから読むことをおすすめします。ちなみに僕の開放性のスコアは14、「かなり高い」でした。

 

『経験への開放性』(以下「開放性」という) は、5つの因子の中で最も謎めいていると言っていいでしょう。研究者の間でも、未だに見解が分かれるのがこの開放性のようです。

とはいえ、共通する見解もあります。
それは、開放性のスコアは、あらゆる種類の文化的・芸術的活動にどれほど関わっているかを強く予測するということです。

人によっては読書を好み、また人によっては画廊に行くのを好む、ということではない。一方には読書にも画廊にも劇場にも音楽にも熱心な人がおり、他方ではそれらのどれにも大して興味がない人がいる。

あらゆる文化的余暇活動に関わろうとするこの傾向は、ただ一つ、開放性によって予測される。

研究者によっては、『開放性』を“知性”として、「複雑な認知的刺激を求め、探ろうとする傾向」として見ており、それによって開放性は、想像力と芸術性を追求する才能とその創作に、とくに関連しているようなのです。

つまり、開放性の高い人間の典型が、詩人もしくはアーティスト(芸術家)だというのです。

 

では、詩人、アーティスト(芸術家)とはどういった人物なのでしょうか?

それを簡潔に言い表すのは難しいですが、最も重要な部分は「連想の広がりが大きい人物」なのだそうです。
それによって、既知の事柄から新たな思考へと飛躍させる創造性があり、一般の人が見たことも想像したこともないような作品を生み出すのでしょう。

この連想の広がりを説明するのに最適なのが【拡散的思考】課題というものです。

たとえば、用途テストというものがある。回答者は、日常使われている物についてできるだけ多くの用途を考え出さなくてはならない。伝統的な用途はすぐに考え付いてしまうから、もっと普通でない用途を考え出す必要がある。

例えば、
消しゴムなら、四角く切って穴を彫ってサイコロにするとか、消しゴムのカスを長くつなげて人形の首輪にするとか、
鉛筆なら、たくさん繋げて簀子にするとか、芯を抜いてストローにして使うとかです。

開放性のスコアの高い人は、スコアの低い人に比べて、 より多くの用途を考え出すだけでなく、考え出す用途そのものも普通ではない。

 人がある対象について連想するときの、連想の広がりの幅がどれだけ広がるのかを示す指標が、開放性の高さと関わっているのです。

例えば開放性の高い人は、ひとつの単語を見聞きしただけでも、連想による脳の活性化がさまざまな部位にまで及びます。

実際には「考え」であるものを聴覚と結びつけることによって、幻聴が生まれる。

意味のない出来事が、そこにいない人物についての考えと結びつければ、テレパシー、もしくは超常現象という考えにたどり着く。

要するに、開放性が低ければ完全に別個のものとして保たれているはずの「異なる領域」の処理の流れは、
開放性が高い人にとっては相互に作用しあい、関連したものとして知覚されるのだ。

幻覚、錯覚、超常的信念はいずれも、この連想の広がりが生み出した効果としてはネガティブな(不要な、もしくは障害になるような)要素ではありますが、
同時にそれらは、言語や視覚、聴覚の分野での創造性にとっては強力なエンジンとなるのです。

そしてそれは、まったく新しいものの見方へと飛躍して、新しい果実を生み、あるいは他者の注目を集める。

「創造性によって他者の注目を集める」これが、開放性のポジティブな一面なのでしょう。

事実、開放性のスコアの高い人は、文学やアートなどにおいて注目を集め、社会的関心とステータスを得ているようです。

 

そしてもう一つ、開放性において興味深い点があります。

それは、意識的な思考では、無意識の「連想の広がり」を抑えられないということです。

ある一組で質問をしたあと、「今の組の内容は無視して、別の組を選べ」という指示課題で、

開放性スコアが高い被験者は、無視するように想定されている情報を抑制できない。

例えば、「○○は、◎◎とは関係ない」と言われたとします。開放性が高い人も、それを意識的に理解することはできます。

しかし、理解しているにも関わらず、無意識に「マル繋がりだ」などといった連想集団に組み込んでしまうのです。そういった連想の広がりを意識的に抑制することができないわけです。

これは、僕自身にとって、とても納得のいくことでした。

なぜなら僕は、心霊や超常現象などを信じていないにも関わらず、そして見たいと思っていないにも関わらず、それらの体験をしているからです。

心霊体験、白昼夢などは自分の脳が作り出した幻覚なのだという知識を得て、その科学的メカニズムを理解していても尚、そういった幻覚を抑えることができないのです。

信じていないにも関わらず、はっきりと幻覚(いわゆる幽霊)が見えるというのは、とても奇妙なものです。

(こういった話題になると「それは、幽霊は実在するということなのではないか?」と言われることがありますが、その議論に終わりは無いのでやめておきます。笑)

 

さて、まとめると、開放性とは、

(低い開放性の心においては別々に保持されている)さまざまな処理ネットワーク間の、相互作用の大きさ

なのです。

そして高い開放性によるコスト(リスク)は、幻覚や錯覚を生み、精神病への罹患率を高めることであり、
高い開放性による利益は、配偶者選択における強力な武器になり得る(つまり、モテる)ということになります。

逆に低い開放性は、精神病になる恐れはないが、モテる要素のうち少なくとも一つは持ち合わせていないということです。

 

 

これで、特性5因子、すべての特徴を説明しましたが、人の性格特性を成すものは、もちろんこれだけではありません。

特性5因子は遺伝しますが、遺伝子によって決定されている性格は50%であり、残りの50%は環境によると言われています。

次回はその辺の環境要因の話を交え、まとめていきたいと思います。

 

→次の記事『環境がパーソナリティー(性格)に及ぼす影響はない!?』

ブログ一覧

アーカイブ(主要な記事一覧)へ

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。