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特性5因子~環境が性格に影響を及ぼすことはない!?

photo by Courtney

※この記事は、性格診断の関連記事↓です。

 

行動遺伝学によると、これまで説明してきたようなパーソナリティー(性格)における遺伝的構成要素は、およそ50%だといいます。

そして残りの半分は、遺伝子型とは無関係ということになります。となると頭に浮かぶのは、子供時代の経験、病気、親の育て方、家族構成、学校生活、そして友人たち…などの環境による影響でしょう。

 

そういったことを調査する行動遺伝学の代表的な手法は、一卵性双生児と二卵性双生児の比較です。

一卵性双生児は、遺伝子が完全に同一ですが、二卵性双生児では同じ遺伝子は半分しか持ち合わせていません。そして両者とも、同じ時期に同じ家庭で育ちます。

これらを比較すると、一卵性双生児は二卵性双生児よりもはるかに似ていて、その相関を計算すると、遺伝的影響が50%という統計値になります。

 

つまり、遺伝子が50%、環境が50%の割合で、その人物のパーソナリティー(性格)が決まるということです。

 

また、一卵性双生児、二卵性双生児が、養子となって別々の環境で過ごしたケースを比較する研究もあります。

それによると、
一卵性双生児は、別々の環境で育っても、一緒に育てられた一卵性双生児と同じようにパーソナリティーが互いに似ています。

これは、遺伝子が同じであれば、環境が違ってもパーソナリティーはかなり似ているということです。

 

さらに、 義理の兄弟と一緒に育った人物(遺伝子は全く違うが、家庭環境が同じ)のパーソナリティーは、ランダムに選んだ第三者に比べて、少しも似ていないのです。

同じ家庭環境で、同じ親に、同じように育てられたにも関わらず、その家庭環境によってパーソナリティーが似ることはないのですね。

 

つまり、これらの研究から出された結論は、環境要因がパーソナリティーに及ぼす統計的な数値は“ゼロ”なのです。

 

この事実が、多くの波紋を呼んだ事は想像に難しくないでしょう。

子育てスタイル、喫煙、家族数、教育、人生哲学、結婚生活の状態、離婚、もしくは再婚は、子供のパーソナリティーに何ら重要な影響をもち得ないと言うのですから。

もしこれらのうちのどれかが、一貫した影響をもつとすれば、同じ家族で育った血の繋がらない子供同士は、ランダムに選ばれたペアよりもパーソナリティーが似ているハズなのです。しかし実際はそうはならない。

これは信じられないと思うでしょうが、但し書きが二つあります。

まず第一に、『家族』という基盤内においては、明らかに子供のパーソナリティーに影響をもつようです。家庭内での規則や兄弟関係は学習され、「この家庭内ではこう振る舞うべきだ」という習慣が出来上がるのです。
しかしそれは、その子供たちが家庭の外で他人と接するケースにまでは影響を及ぼさないということなのです。

第二に、この結論を出した研究が対象としたのは、ある程度きちんとした家庭だということです。
極端に暴力的な、あるいは虐待された子供時代の経験は、その子供のパーソナリティーに永続的な影響を残すかもしれません。
したがって、これらの研究が本当に示しているのは、

通常の家族の範囲内において、共有された家族の要素は、その後のパーソナリティーに何の影響力ももたない

ということなのです。

衝撃的ではありませんか。
僕が初めてこれを知ったときは、鳥肌が立ちました。

 

冷たい母親や家にいない父親、大家族、託児所に預けられる、などといった事柄がパーソナリティーを形成するという単純な思い込みはすべて手放さなくてはならない。

 

では、しばしば報告されるさまざまなリサーチは何を意味するのでしょう。

離婚した親の子供たちは離婚する傾向が多いとか、母親がうつだと子供もうつになりやすいとか、子供のときに暴力を受けた人は大人になって暴力的になりやすいとか…

 

次回はそれについて説明していきます。

 

 

→次の記事『状況を喚起し、選択していく遺伝子』

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