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運動の基本原則~効果的な筋力増強運動~

Chavala

『運動の基本原則~練習効果を最大限に引き出すコツ』のつづき、効果的な筋力増強運動についてです。

※ここでいう「効果的」の意味は、スポーツ競技のパフォーマンスを上げるために効果的ということであり、単純な筋肉肥大を目的とする筋力増強運動とは意味合いが少し違います。予めご了解ください。

 

先に説明した通り、いわゆる”筋トレ”の反復動作は、競技における正しいフォームの学習の妨げになることがあります。

しかし、それを防ぎつつ、筋力を鍛えるのも可能です。

それは、

  1. 習得したい一連の動きに沿った筋力増強運動を行うこと
  2. ゆっくり、丁寧に、フォームを確認しながら行うこと

この二つだけです。

 

ではまず、より理解を深めるために、誤った筋トレについて説明していきます。

例えば、野球の投球動作を力強くするために、肩~腕周辺の筋力増強運動をしたいとします。

もしそこで、ベンチプレスや腕立てをしたり、ダンベルトレーニングをしたのでは、「投球動作」からかけ離れた動作を伴うトレーニングとなってしまいます。

すると、脳はその筋トレの動作を学習しようとしてしまい、その動作において筋力を発揮することを学習していくことになります。

人間の一日の学習には制限があり、複数の動作(協調運動)を学ぼうとすると、それが多ければ多いほど、どれも学習しにくいということが起こります。

ということは、その日、投球の練習をしたとしても、筋トレをすることによって「投球動作」の学習効果が薄れてしまうのです。

 

確かに、ベンチプレスや腕立て伏せによっても、筋肉は太くなりますし、最大筋力は上昇します。しかし、本来の目的は「もっと強力なボールを投げる」「たくさん投げても痛めない丈夫な肩を作る」ということのハズです。

投球動作で大胸筋を使うからと言って、腕立て伏せなどで大胸筋のトレーニングをしても、大きな筋力を発揮できるようになるのは”腕立て動作”であり、”投球動作”ではないのです。

 

筋肉量による最大筋力として最も高い数値を示すのはボディービルダーですが、彼らの筋肉では、ボクサーより速いパンチは打てませんし、体操選手のように吊り輪で十字懸垂もできません。

(※これは、ボディービルダーの筋肉が「見かけ倒しの低能の筋肉だ」ということでは決してありません。彼らの筋肉は大きく美しくすることに意味があり、その目的に合わせた、素晴らしい筋肉なのです)

「筋肉がつけば、競技のパフォーマンスが上がる」ということはありません。その競技で使える筋力をつけなければ意味がないのです。

ということは、”投球”を強くしたいのなら、”投球動作に基づいた筋力増強運動”を行うべきではないでしょうか。

 

ではそれを踏まえた上で、「1.習得したい一連の動きに沿った筋力増強運動を行うこと」「2.ゆっくり、丁寧に、フォームを確認しながら行うこと」、これら二つを加味したトレーニングについて解説していきます。

 

結論から言うと、最もおすすめのトレーニングはチューブトレーニングです。

 

これは、ゴムのチューブ(バンド)を用いたトレーニングで、ゴムを引っ張った時の抵抗力で筋力を鍛えるというものです。

チューブの強さにはさまざまなものがあるので、自身の筋力に合わせてチューブを選んでトレーニングをします。(強度によって色分けされている商品がほとんどです)

一例として、右利きによる野球の投球動作(主に肩周辺)を鍛えるチューブトレーニングの方法を紹介しながら、詳しく説明していきます。

 

まず、あまり負担をかけすぎないよう、低~中強度のゴムチューブを使用します。

投球動作で最も肩周辺に力がかかるのは、手先が上から斜め下に振り下ろされる瞬間です。

その動作での強化を行うため、手を振り下ろす角度の延長線上(後方の斜め上)にゴムの一端を縛り付け、もう一端はしっかりと握ります(輪っかにして、手に引っ掛けるようにするとよい)。

立ち位置と、ゴムを縛り付ける位置は、投球動作を行って、手を振り下ろす時に抵抗を感じる位置にしっかりと調節します。

後は、このまま、ゆっくりと投球動作を行います。

“投球動作”と言っても、チューブの抵抗を最も感じるのは、「手を挙げた状態から45度ほど腕を振り下ろすところ」までですので、その一部の動作だけを行います。

正しいフォームを意識しながら、ゆっくりと10秒ほど時間をかけてチューブを引っ張り、最高の抵抗を感じるポイント(もっとも筋力をつけたいポイント)で10秒ほど止めます。そして、またゆっくりと10秒ほどかけて戻します。

ゆっくり行う理由は二つあります。一つは、拮抗筋の過度の緊張をさけるため。そしてもう一つは、反復回数を減らすためです。(また、ゆっくり行うほうが怪我を防げるという利点もある)

反復回数が多いほど、脳はその動作を優先して学習しようとするということは先の投稿にて説明した通りです。また、ゆっくりした動きは、”脳”にとっては一連の動きとしては記憶されにくいという特徴もあります。

ここでの目的は、「筋トレ動作の習得」ではなく、「投球動作における強化」ですから、できるだけ回数を少なくしたいわけです。

 

具体的な回数と強度については、一回のトレーニングを10~15回程度にし、「10回でもけっこうキツい!」というくらいの強度で行うとよいです。(筋力が弱い方は、少し物足りないくらいで十分です。また、ほんの少しでも痛みを感じるようなら、直ちに運動を止めて下さい)

 

そして、「投球動作」だけでなく、そこから戻す「逆の動作」も、ゆっくり行うことに意味があります。

筋肉というのは、「緊張しながら縮む(投球動作)」より、「緊張しながら伸びる(そこから戻す動作)」ことの方が、大きな負荷がかかるのです。

大きな負荷がかかるということは、それだけ筋力増強効果も高いということです。そのため、戻す動作もゆっくりにして、投球動作に用いる筋肉を鍛えるわけです。(逆の動作は、よりゆっくりにするくらいでよい)

 

細かい注意点はたくさんありますが、特に注意してもらいたのは、やはり、正しいフォームで行うということです。

可能であれば、鏡に向かってフォームを確認しながら行うなどして、フィードバックを用いて下さい。

また、「○○の動作で使う、△△の筋力を鍛えたい」という明確な目的を持つことも大切です。目的が明確になれば、その動作に抵抗をかけるようにするには、どのようにチューブを用いればよいのかイメージが湧いてくると思います。

 

また、チューブトレーニングだけでなく、パートナー(指導者)に抵抗をかけてもらう方法もあります。

ここでも注意することは全く同じ。習得したい一連の動作に沿った運動を行うということです。

 

そしてチューブトレーニングの後に、必ずやって頂きたいことがあります。

 それは、実際の動作を数回行うということです。

「今、鍛えた筋肉は、この動作で使うんだよ〜」

と筋肉に教え込むように、意識して行いましょう。
(「そんなバカな」と感じた方は、こちらをお読み下さい→『意識の持ちようで運動の効果が激変する』

 

それを基本の軸として、あとはさまざまなスポーツに対応するべく考えていけばよいわけです。

 

“筋トレ”といえば、腹筋、背筋、腕立て、スクワット…、という時代は終わりました。

スポーツ競技におけるパフォーマンスを短期間で効果的に上げたいのなら、科学的根拠を持った、より目的に合わせたトレーニングを選択するべきだと、僕は思います。

 

※実際にチューブトレーニングなどを体感してみたいという方は、運動教室にご参加下さい。初回は無料講習を行いますので、「やり方」だけでも学びにきてみて下さい。

 

→次の記事『上達度の法則「べき乗則」〜』

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