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効果的なしつけとは?(1/2)~条件反射

Taking A Break

僕は、子どものしつけとは、 道徳的に善いことをしたら快感を憶え、悪いことをしたら不快感を憶えるように条件反射を身に付けさせること だと考えています。
(条件反射とは、ある事象によって、ある情動が無意識に喚起されることです。詳しくはこちら→『直感と条件反射〜偏見の構築』を参照下さい)

僕は、誰かに見られていようがいなかろうが、道徳的に悪いことをしようとすると、不快感が生じます。

「これをやったら誰かを傷付けるから」などという意識的な思考がそうさせているのではなく、無意識に沸き起こる不快感を避けるために、悪いことをしないのです。

つまり根本は、ただ自分が気持ちよくなりたいから善いことをするのであり、自分が不快感を感じたくないから悪いことをしないのです。

子どものしつけにおいて、 善いことをしたら褒める、悪いことをしたら厳しく叱ることは、まさにそれを身に付ける手段となります。

善いことをして褒められると、子どもは嬉しそうにします。快感を感じているのです
それを繰り返しているうちに、善い行いと快感とが無意識に結びついていきます。(善行と快感が条件付けされる)

同様に、悪いことをして叱られると、子どもは怒ったり、すねたり、泣いたりします。それはどんな表出であれ、不快感なのです。
それを繰り返しているうちに悪行と不快感が条件付けされていくのです。

そしてそれがしっかり条件付けされると、別に褒められなくても善行をするようになり、誰も見ていなくても悪行をしなくなるのです。無意識に生じる快感と不快感によって。

 

僕は、これが、しつけの仕組みだと考えています。

そこには、「なぜ人を傷付けるのがよくないのか?」などといった理由付けなど必要ありません。

子どもは、人を傷付けるのが悪い理由があるから、それをしなくなるわけではありませんから。(そもそも、そんな理由など存在しないと、僕は思います) それに関してはさまざまな意見があると思いますが、この先は「しつけは条件反射によって形成される」を前提として話を進めていきます。

 

しつけにおける条件反射を効果的に身に付けさせるには、ある決まりごとがあります。

それは、おおまかに分けて三つ。「一貫性」「タイミング」「メリハリ」です。

 

一貫性についてはそのまま、叱ることに一貫性を持つ必要があるということです。

例えば、子どもが同じような悪いことをしたときに、
母親は叱るが、父親は叱らないとか、
昨日は叱ったが今日は叱らないといったことをしていては、子どもにその行いを改めさせることは難しいでしょう。

 

そしてタイミングについてですが、これは、 ある事象が起こった瞬間と、情動の喚起との間はかなり短時間でなくてはならないということです。

悪いことをしたその時に(その瞬間に)叱ることで、子どもにその悪行と不快感とが条件付けされるのです。

そこにタイムラグがあってはいけません。

例えば、同じ悪行を叱るにしても、
後でお父さんに叱ってもらうとか、
何日も前のことを蒸し返して叱ったところで、条件反射を身に付けさせることはできません。

条件反射は、意識的な理性にではなく、無意識の情動に植え付けなくてはならないので、後からいくら合理的で理性的な説明をしても、その悪行に不快感が条件付けされることはないのです。
(厳密に言うと、説明によって理性的にきちっと納得できると、悪いことをしそうになった際に理性で制御できることもあります(子どもには難しいですが)。そしてそれを繰り返しているうちに、習慣として条件付けされることもあります。ただしこれは、説明によって条件付けされたわけではありません。)

 

三つ目のメリハリについては、いつも褒めてばかり、いつも叱ってばかりでは、しつけの条件反射はなかなか身に付かないということです。

条件反射を身に付けるためには、 褒められたとき、叱られたときに大きく感情が動く必要があります。その上昇度(または下降度)が大きければ大きいほど、条件付けされやすくなります。

特に、激情を伴うような事柄があると、それはたったの一回の経験で条件付けされることすらあります(一回の経験でトラウマになるなど、強烈に学習される。これは“刷り込み”とも言う。)

人は、すぐに現状に慣れる生き物です。

そのため、いつも褒めてばかりいては、それに慣れてしまい、褒められたときの快感の上昇度は小さくなってしまうのです。
(褒め方についてはこちらも参照下さい→『あなたの知能はすごい!的な褒め方はだめ』

同様に、いつも叱ってばかりいては、常に不快感を感じているが故に、新たに叱られたときの不快感を感じる相対的な度合いが小さくなってしまいます。
また、神経質傾向の低い子どもなら、叱られることに慣れて、新たに叱られても大して不快感を感じなくなるでしょう。

それを踏まえると、「これは是非やって欲しい!」というポイントでよく褒め、「これは絶対にやっちゃいけない!」という時にはしっかりと叱る必要があるのです。

 

このように考えると、子どものしつけには、一貫性とタイミング、そしてメリハリが大切だということがわかります。親や教育者は、それを意識して子どもをしつけるのがよいと思います。

しかし、これだけでは、重大な欠陥があるのです。

それは、親や教育者がいない場所ではどうするのか? ということです。

親の目が届かないところでは、一貫性やタイミングどころか、褒めることも叱ることもできないのですから。

これでは、いくら家庭で教育しても、子どもは「親の前ではよい子でいる」「その場その場でうまくしのぐ」ということが巧みになっていくだけでしょう。

親の威厳が強ければ強いほど、家での圧迫感(不快感)からくる反動で、外では歯止めが効かなくなり、「親の前ではよい子。でも外では悪い子」になりかねません。
そしてそれはイジメに結びつき、 イジメた子の親は「うちではとてもよい子なのに、うちの子がそんなことをするわけがない!」となってしまうかもしれません。

では、そうならないためには、どうしたらよいのでしょう?

 

次回はその対策として、日本ではすっかり薄れてしまった、“天の眼”の力について説明します。

 

次の関連記事→『効果的なしつけとは?(2/2)~天の眼効果

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