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競技パフォーマンスを落とさないための栄養摂取について(2/2)

photo by Nicole Miller

 

前回の続きです。

今回は、②運動中の筋グリコーゲンの異化(分解)と、運動後の筋グリコーゲンの同化(合成)についてです。

 

まず、筋グリコーゲンについてですが、
グリコーゲンは、食べた糖質(ご飯やパン、果物、砂糖など)が、細かく分解されて消化吸収され、身体の中で再合成されたものです。

筋肉の中にあるグリコーゲンだから、筋グリコーゲンという名前になっています。

そして筋グリコーゲンは、筋肉を動かす時の最たるエネルギー源となります。

運動中は、筋グリコーゲンは異化(分解)されてエネルギー源となり、特に長時間の持久系トレーニングをすると、筋グリコーゲン量はどんどん低下していきます。

そして運動後は、急速に筋グリコーゲンの再合成が始まります。

 

この、筋グリコーゲンの再合成がしっかり行われていれば問題ないのですが、
アスリートは、得てして、ハードなトレーニングを長時間に渡って行い、次のトレーニングまでの休憩期間も短かいものです。

そのせいで、筋グリコーゲンの再合成が間に合わず、エネルギー不足で次のトレーニングを開始することもあるようです。

 

すると、何が起こるのでしょうか?

 

筋グリコーゲンは足りなくなり、パフォーマンスが落ちます。

すると、しんどいばっかりで、トレーニングの効果が薄れてしまうのです。

「こんなにヘトヘトになるまで頑張っているのに、全然上達しない…」といった感じに。

どういうことかといいますと、
筋肉を追い込んでパワーアップさせたり、競技のスキルアップを図るには、筋グリコーゲンが豊富にある状態でトレーニングをしないと、あまり効果がないのです。

特に、スキルを伴うような競技はなおさらです。

例えば、ロボットの操縦練習をするとして、そのロボットの燃料がはじめから切れそうだったらどうでしょう。
燃料が少ないせいで反応が遅くて動きが悪かったら、操縦の練習になんてなりません。

燃料が豊富にある状態で操縦方法を練習しなければ、そのロボットのパフォーマンスを最大限に引き出す操縦など習得できないでしょう。

それと同じように、筋グリコーゲンが大幅に減少した状態でのトレーニングは、スキルアップには繋がらないのです。これは根性ではどうにもならない部分です。

 

「スキルアップに繋がらないのは分かった。でも、持久系のトレーニングなら効果があるのでは?」と思われたかもしれません。

しかしそれも、そうではないようなのです。

 

持久力を高めるには、長時間トレーニングをする必要があります。

「長時間(最長時間)ハードに動く」という経験が、筋肉にも脳(メンタル)にも必要なのです。

しかし、筋グリコーゲンが少ない状況でトレーニングを始めたのでは、長時間ハードに動くことはできず、筋肉や脳への良刺激にはなりません。
むしろ「長時間動けなかった」という悪い記憶を、乗り越えられなかった“壁”として植え付けてしまうかもしれないのです。

 

これが、筋グリコーゲンの枯渇による悪影響の1つ目です。

そして、悪影響はもう1つあります。

それは、筋肉細胞のタンパク質の異化が急速に進んでしまう(筋肉が痩せてしまう)ということです。

 

通常、筋グリコーゲンが無くなってくると、エネルギー源を確保するために脂肪の分解が進みます。

がしかし、アスリートは得てして、余分な脂肪はあまり無いものです。

すると、エネルギー源として筋肉細胞まで使われてしまうのです。

(※筋グリコーゲンが無くなってきた時点で運動をやめれば筋肉はそこまで痩せませんが、筋グリコーゲンが無くなっても無理に運動を続けていると、筋肉はどんどん痩せていくということです。)

 

■筋グリコーゲンの枯渇による主な悪影響2つ
①競技パフォーマンスの低下、トレーニング効果の低下
②筋肉は痩せて、筋力が落ちる

 

上記のような悪影響を起こさないために、筋グリコーゲンの材料である、糖質の摂取が大切になるのです。

重要なのは、その摂り方、タイミングです。

下のグラフを見てください。
これは、運動後の糖質摂取のタイミングによる筋グリコーゲンの再合成率をグラフ化したものです。

一番左がダントツで良いです。
運動直後から15分ごとというこまめな摂取が、筋グリコーゲンの再合成を高めるようです。

 

そして、糖質の種類によっても再合成率の違いがあります。

次に紹介する研究報告は、
摂取する糖質のグリセミックインデックス(GI値。クリックでWikipediaへ)の高低による筋グリコーゲン再合成率の違いについてです。

例えば、白米や菓子パンなどは高グリセミックインデックス(以下、高GIと表記)であり、葉っぱものの野菜やナッツ類などは低グリセミックインデックス(以下、低GIと表記)です。
(※このグラフでは、運動終了時から24時間後までの筋グリコーゲン量の上昇率を見てください。運動終了時にどちらが多いのかは、研究とは関係ありません。)

上図を見ると、高GI群の方が、筋グリコーゲン量がたくさん増えているのが分かります。

他にも、30日間にわたって高GIと低GI食を比較した研究報告もあり、やはり高GI群の方が高い筋グリコーゲン再合成が見られました。

 

上記(『糖質摂取のタイミング』『摂取する糖質の種類』)の研究報告から、今回の記事をまとめると、

・トレーニング直後に糖質を摂取することが大切
・1日に2回3回といった長時間のトレーニングがある場合は、こまめに摂取することが大切

ということになります。

 

前回の筋肉細胞のタンパク質の内容と、今回の筋グリコーゲンについて合わせて考えると、運動直後に糖質とタンパク質を素早く摂取することが大切だということです。

 

例えば、中学生や高校生の部活の後に夜練があるとしたら、部活直後におにぎりを食べるとよいです。

タンパク質も一緒に摂取したいので…
鮭おにぎり、たらこおにぎり、明太子おにぎり、鶏そぼろおにぎり、ツナマヨおにぎり、肉巻きおにぎり、などなど。

 

ちなみに個人的には、
サプリメントは、食べ物で摂取できないよっぽどの事情がない限り使わなくてよいと考えています。

しっかり、自分の歯で食物を噛み砕き、内臓をしっかり使って消化吸収することもトレーニングに含めて欲しいからです。

「もりもり食べて、がんがん動ける」

そんな身体に作りあげてもらいたいです。

 

本記事の主な参考文献↓ 
(クリックして、本の内容紹介を見てみてください)

タイトル通り、スポーツパフォーマンス向上のための最新情報が満載です。
トレーニングに携わる方々には、ぜひ読んで頂きたいおすすめの良本です。

→次の記事『クロスカントリースキーのストックの使い方を科学する(1/2)』

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