野球、特にピッチャーが肩や肘を痛めることはよくあることです。
その原因はさまざまですが、今回は、原因の1つとされる「投球動作で肘が下がる」ということについて分析していきたいと思います。
1,『全身を使うということ』
2,『なぜ野球肩、野球肘になるのか?』←今ここ
3,『肩のせいで肘を痛める?野球肩の原因とは?』
4,『肩関節のアウターマッスルとは?インナーマッスルとは?』
5,『肩関節のゼロポジションとは?』
6,『ゼロポジションと投球動作』
7,『投球で肘を上げるための方法とは?』
8,『投球で肘を上げて、肩関節をゼロポジションへ合わせるための体幹の使い方』
9,『投球で肘を上げて、肩関節をゼロポジションへ合わせる左腕の使い方』
投球時に(右利きであれば)右肘が下がっているとなると、
「肘や肩を痛めやすい」「スピードが出ない」などと言われ、良くないことだと考えられています。
ではなぜ、肘が下がると良くないのでしょうか?
その答えは、骨格・筋肉・靭帯の形状を見れば明らかです。
まず、肩の関節の動きを見てみましょう。
肩関節には、【内旋(ないせん)】と【外旋(がいせん)】という動きがあります。
投球動作時は、振りかぶった時に肩関節が外旋する(手が頭の後方へ捻れる)ことで、ムチのようにしなるフォームで投げることができるわけです。
この肩関節の外旋という動きは、
肘(腕)が下がっている状態では、あまり可動域が広くありませんが、腕を挙げていくにつれ、大きく外旋できるようになります。
下画像を見てください。ゴムバンドを使って、肩の可動域いっぱいまで引き伸ばしています。
まずは、肘が上がっている状態から。
手の位置が、だいぶ後ろへ行っているのが分かります。
このように、肘の位置を上げると肩関節を外旋しやすくなり、腕がしなるのです。
では次に、肘を下げてみます。
手があまり後ろへいっていません。
僕は特に、肩の関節が硬いので、肘が下がるとここまでしか後ろへ行かないのです。
これでもけっこう無理をしていていて、肩関節の痛みを我慢しています(笑)
両方の画像を見比べると分かるとおり、肘が上がっている時はかなり腕が後ろへしなっていました。しかし肘を上げていると肩関節の痛みは無く、「筋肉が伸ばされているな〜」という感じがあるくらいでした。
これは肩関節の構造上、そうなっているのです。
つまり、投球動作において肘が下がると、肩関節の外旋に制限がかかる(つまり、外旋しにくくなる)わけです。
強く速い球を投げるには、ムチのような腕のしなりが必要です。
そしてその“しなり”には肩関節の外旋が必須なのです。
しかし肘が下がっていると、外旋には制限がかかります。
制限のかかった肩関節が無理やり外旋されて、肩の靭帯や腱が引き伸ばされ、肩関節周辺の傷害に繋がるのです。
この、肘が下がることによる悪影響は、肘関節にも及ぶのですが、それについてはまた次回に説明します。
→次の記事『肩のせいで肘を痛める?野球肩の原因とは?』へ
→ブログ一覧へ
→アーカイブ(主要な記事一覧)へ