025-768-4071

営業時間:月曜日〜土曜日
午前8:00〜12:00
午後14:00〜19:00
※受付は終了30前です

変化を嫌う心理

I'm Going Through Changes

次の質問を一緒に考えてみて下さい。

感染したら一週間以内に痛みもなく死んでしまう病気にかかる危険があるとしよう。あなたがすでにこの病気に感染している確率は0.001%である。この病気の治療費にいくらまでなら出すだろうか。

この場合の一般的な答えは200ドルでした。では、つぎの質問について考えてみてください。

この病気の研究にボランティアが必要だとする。条件は、病気に感染する可能性が0.001%あるのを承諾すること。最低いくらの報酬がもらえるなら、あなたはこの研究に協力するだろうか。

ここでの一般的な答えは約一万ドルで、最初の質問の50倍にものぼります。しかし、この二つの質問は論理的には同じなのです!

人にすすんで新しいことをはじめさせるのは、すでに身に起こっている可能性のあることに対処させるよりもずっと難しいのである。(『ゲーム理論の愉しみ方 ~得するための生き残り戦術』より)

こういった心理は、『リスク回避』などとして説明されます。(ヒトは、千円を獲得するときの喜びの大きさより、千円を損する時の苦痛の大きさの方が遥かに大きく感じる)

そしてさらに、前回説明した認知的不協和の回避も合わさって、「新しいこと」を受け入れるのはさらに難しいこととなるのです。

 

例えばあなたが、ある接客法が効果的だと信じ、その接客法をずっと続けてきた店長だとします。

ある時、ある研究報告によって、従来の接客法はかえって逆効果であり、新たな接客法の方が効果的だということを示されます。しかし、新たな接客法も完璧ではなく、多少のリスクもある。

こういったケースでは、「すでに身に起こっているリスクより、新たにふりかかるリスクの方が大きく感じる」という特性により、新たな接客法のリスクを数十倍に見積もってしまいます。

さらに、自分が信じてきた接客法を否定されたことで認知的不協和を感じ、新たな接客法を非難(または無視)することで、自身の結論を正当化するのです。

かくして、効果的であろう接客法へ変化させることなく、今まで通りの効果の薄い接客を続けるのです。

 

変化を嫌うが故に、改善できるであろう事柄も改善できない。こういったケースは、政治、経済、福祉、医療、教育などさまざまな分野で見られることです。特に、現行制度に大きな不満がない時には。

 

その事実を知ると、理性的な結論を下す一助になるのではないでしょうか。

 

→次の記事『直観は正しい、ただし、単純なものに限る』

→前の記事『自己正当化する心理~認知的不協和理論』

コラム一覧

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。