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後ろ向きの人に「前向きになれ」と言わない方がいい理由

photo by Nicole Harbordt

 

今回は予定を変更して、前回の記事『俯瞰する』の補足説明をします。

神経質傾向の高い人(後ろ向き思考の人)に、「もっと前向きに考えて!」と言うのが、なぜ悪いのか?という話です。
(※神経質傾向についてはこちら→『悩む人〜神経質傾向〜』

 

うつ病(主に神経質傾向の高い人がなりやすい)の方に「もっと前向きに考えて!」とか「悩まないで!がんばって!」と言うのは良くないと言われています。

脳研究においても、無理に前向き(楽観的)に考えようとすると、さらに悲観的感情が増幅されてしまうことが確認されているのです。

 

なぜそんなことになってしまうのでしょう?

僕は以前、その理由がいまいちピンとこなかったのですが、錯視を見ている時にふと理解できたのです。

なので、錯視を使って説明します。
(神経質傾向の高い人の話は、ちょっと置いておきます)

 

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上画像のAとBは同じ色なのですが、そうは見えません。
これは目の錯覚(錯視)なので、「あ、目の錯覚なんだ、本当は同じ色なんだね。不思議だね」ですみます。

 

ですが、もし、錯視だと知らなかったらどう感じるでしょうか?

 

違う色にしか見えないのに、錯視だとも教えられず、
「悩まないで!同じ色なんだから、そう見えるようにがんばって!」と言われたら?

どんなに「同じ色なんだ」と思うよう努力しても、違う色にしか見えません。でも同じ色だと思わなきゃいけない。

そうなると、自分にウソをついているわけですから、自己矛盾が生じて、ストレスを感じてしまうことでしょう。

 

その自己矛盾を解消するには、まず、同じ色に見えるけど、これは錯視という“認知の歪み”だと知る必要があるのです。

それを知って理解さえすれば、
例え違う色に見えても、「あ、これは違う色に見えるけど、同じ色なんだな」と、自己矛盾を感じずに考えられるようになるのです。

その『正しく知る』という部分をすっ飛ばして、無理矢理「同じ色だと思わなきゃ!」と頑張っても、自己矛盾が増幅するばかりなのです。

 

それを踏まえた上で、神経質傾向の高い人の話に戻します。

 

神経質傾向の高い人は、不安や悩みが多いのですが、そのほとんどが認知の歪みによって生じているという研究報告があります。

これは上の錯視のようなもので、事実とは違って認識してしまうという歪みです。

 

例えば、今まで経験した良いことと悪いことが、ほぼ同数だったとします。

その経験を思い出してもらうと、
神経質傾向が高い人は、悪いことの方がたくさん思い出されてしまい、自分は悪い人生を歩んでいると感じてしまいます。

先ほどの錯視と合わせて考えてみるとこうなります。

実際は良いことも悪いことも同じくらい経験しているのに(実際は同じ色なのに)、
悪いことが多いと認識してしまう(違う色だと認識してしまう)。

 

錯視は、ほぼ誰にでも生じる認知の歪みですが、
上の例のような認知の歪みは、特に神経質傾向が高い人に生じるもので、神経質傾向が低い人には事実通りに認識できるのです。
(さらに、外向性の高い人にとっては良いことの方が多いと感じてしまう、逆タイプの認知の歪みが生じるのですが、ここではその話は省きます)

 

ここが大事なポイントです。

神経質傾向が高い人と、そうでない人が、一緒に同じ体験をしたとしても、その認識は異なるのです。

そこの認識が違っているから、
うつ病じゃない人からしたら「大したことない」と思う事実でも、
うつ病の人からしたら「立ち直れない」と感じてしまうことがあるのです。

それを安易に「もっと前向きに考えて!それは大したことじゃないよ!」と言ってしまうと、神経質傾向の高い人に自己矛盾を与えてしまうことになります。

感覚的には、立ち直れないほどに大変なことだと感じているのに、「大したことないと思わなきゃいけない!」と頑張ることで、自己矛盾が生じ、さらなるストレスとなってしまうわけです。

 

なのでそうではなく、
その立ち直れないと感じてしまうような事実は、実は「認知の歪みでそう感じているだけだ」と知り、理解することが先決なのです。

その、事実を事実のまま認識するために、俯瞰することが重要になってきます。

認知の歪みをできるだけ感じないようにするために、俯瞰する必要があるのです。

 

もしも落ち込んでいる友人を元気づけたいのなら、事実を事実のまま認識できていないことを、まず理解してあげて欲しいと思います。

そして、事実を事実のまま認識させてあげるために、よく話を聞いてあげて、
「もっと前向きに考えなよ!」と言うのではなく、「私はこう感じるな」という客観的な意見を教えてあげるのがよいのだそうです。

それが、俯瞰する(客観視する)手助けとなるようです。

 

さて次回は、前回記事の予告で予定していた、俯瞰した後の対処法、色んな意味で成功するための方法論を、少し紹介したいと思います。

 

 

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