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脳の可能性~ロボットアームを”脳”だけで動かすサル~

Monkey eat banana!

『運動の基本原則』にて「フィードバックを用いる」という項目がありますが、その重大さを伝えるべく、「ロボットアームを”脳”だけで動かすサル」についてご紹介します。

 

この研究は、サルにロボットアームを見せることから始まります。

まず、サルの目の前で、実験者がコントロールレバーを使ってロボットアームを動かすことろを見せます。これでサルに、「このレバーを動かせば、ロボットアームが動くよ」と教えるわけです。

そして、サルから届かない位置にエサを置き、ロボットアームを上手く動かせばバナナを取れる状況にします。

すると、サルはレバーを動かし、少しずつロボットアームの操作が上手くなり、バナナが取れるようになるのです。

そしてその、レバーを動かしている時、サルの脳が活性化している部位を特定します。

その脳部位に電極を埋め込み、サルがアームを動かしている時の電気信号(脳は電気信号で動いています)を検知し、その検知された電気信号によりロボットアームが動くように設定します。

サルは、レバーを動かすことでアームを動かしていると思い込んでいますが、実はレバーとアームは繋がっておらず、脳とアームが繋がっている状態になります。

そして最終段階になると、サルは「アームを動かそうと想像するだけで、ロボットアームが動く」ということを学習し、レバーを使わなくとも、”脳”だけでロボットアームを動かせるようになるのです。

 

すごい。この研究が進めば、麻痺をもつ人の生活が一変するかもしれません。

 

 この研究からはさまざまな考察が得られるのですが、今回はフィードバックについて考察していきます。

このサルがロボットアームを操作するに至るために、もっとも重要な要因となるのがフィードバックです。

フィードバックというのは「”結果”を行った側に伝える」というもの。物事の上達には、このフィードバックがとても重要なのです。

例えば、あなたが「目隠しをした状態でボールをマトにぶつけたい」とします。しかし、目隠しをしているため、今投げたボールがマトの右に通りぬけたのか、左に通り抜けたのか、はたまた届かなかったのか全く分かりません。

しかし、そばで見ている人が、「今のはマトの左を通り抜けたよ!」「今のは届かなかったよ!」と、投げた結果をあなたに伝えてくれたなら(フィードバックしてくれたなら)、あなたは少しずつ上達するに違いありません。

先のサルは、自分の目で、自分の行った結果を見ることでフィードバックを行い、上達していったのです。

 

このフィードバックを利用し、人を対象とした「自分の意思で血圧を下げる」という研究があります。

被験者は血圧測定器を付け、目の前に測定結果を表示した状態にするのです。

そして、「血圧を下げることができたら、たくさんの謝礼(お金)をあげるよ」と伝えます。

被験者は、初めのうちは、どうすれば血圧をコントロールするのかが全く分かりませんが、少しずつコツをつかんでくるのです。

そして遂に、血圧を下げることに成功し、謝礼を受け取り、ルンルン気分で帰っていくわけです。

 

他にも、脳波(アルファー波、ガンマ波、シータ波などいろいろある)を目の前に表示しておくと、「自分の意思でシータ波にする」なんてことができるようになることも分かっています。

 

いずれも、どう意識すればよいのかなんて全く想像もつかないものですが、フィードバックを与えるだけで、さまざまなことができるようになるわけです。

 

これで、運動の基本原則にある「フィードバックを用いる」という事の重大さが伝わったでしょうか。

フィードバックで最も効率が良いのは、「結果を自分で見る」というものです。(人から指摘されるより、自分で見るのが一番)

悪い癖も、それを行った瞬間にフィードバックされていてば、比較的短期間に直すことができます。

鏡で自分を見る、もしくは撮影して自分で自分をリアルタイムに見ることができれば、さまざまなパフォーマンスが急激に上がることがあるのです。

 

脳の可能性は底なしです。

訓練次第で、今まで想像もできなかったことができるようになるのですから。

フィードバックをうまく用いて、さらなる能力アップを目指しましょう。

 

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