025-768-4071

営業時間:月曜日〜土曜日
午前8:00〜12:00
午後14:00〜19:00
※受付は終了30前です

ゲームで知能を高める?

P1020304

過去記事『ゲームは人殺しを育成するか?』にて、ゲームの危険性を示しましたが、それはあくまで、一部の暴力的なゲームに関しての記事であり、全てのゲームが悪いといっているわけではありません。

大半のゲームは害になどならず、その内容によっては良影響を与えるものもあるようです。

 

まず、ゲームの研究ではありませんが、下記の超有名な研究『マシュマロ・テスト』を見て下さい。

4歳児の目の前にマシュマロが入った皿を置き、「これはベルを押せばいつ食べてもかまわない。でも食べずに15分我慢できたらご褒美としてもう一個あげるよ」と言って、実験者は部屋を出る。

部屋の中には、おもちゃや本などの“気をそらせるモノ”は何もなく、子どもたちはマジックミラー越しに観察された。[Walter Mischel and Ebbe B. Ebbesen,”Attention in Delay of Gratification,” Journal of Personality and Social Psychology 16(1970):329-37][Inge-Marie Eigsti et al.,”Predicting Cognitive Control from Preschool to Late Adolescence and Young Adulthood,”Psychological Science 17(2006):478-84]

この実験で「15分待てずにマシュマロを食べた子」と、「15分我慢できてマシュマロを二個ゲットした子」に分けられます。
そして、実験から10~15年後に、誘惑に勝った子どもと負けた子どもの違いが明らかとなったのです。

誘惑に勝った子どもは、麻薬などに手を出す確率が低かったが、もっとも重大な違いが認められたのは、知的能力だった。

4歳の時にセルフコントロールを示した子どもたちは、知能テストで大幅に高い点数をとった。

この研究は、ある意味残酷な意味合いを持ちます。それは、「4歳のうちから(遺伝子によって)将来の知能がある程度決まる」ということです。

もちろん、親の介入や学校などの環境も大きな要因にはなりますが、4歳時のマシュマロ・テストによって、将来を予測できるというのは事実なのです。

 

このマシュマロ・テストにおいて働いているものの一つは、以前記事で説明した特性5因子の「誠実性」の高さでしょう。

誠実性が高い人は、注意力(目の前の課題に注意深く、粘り強く集中する力など)があり、学校の成績がよく、仕事もきっちりやっていける傾向にあるため、誠実性が低い人にとっては何とかしたい事柄であるかもしれません。

特性5因子の記事では、そういった特性は変えることはできないと説明しました。しかしある程度は、訓練によって注意力や自制心が養われる可能性があるようです。

オレゴン大学の研究を見てみましょう。

4~6歳児に、5~40分間、注意力とコントロールをとくに必要とするさまざまなコンピュータ・ゲームをやらせた。

たとえば、ジョイスティックを使ってアニメの猫をつかまえ、沼地を避けながら草原へ連れて行く。草原は、だんだん小さくなり、沼地はだんだん大きくなるので、次第に正確なコントロールが必要になる。

ゲームを行い、注意力を訓練した後は、実行制御能力が高まるだけでなく、非言語知能テストの成績も上がることがわかった。

しかもこの効果は、数か月持続した。[M. Rosario Rueda et al.,”Training, Maturation, and Genetic Influences on the Development of Exective Attention,” PNAS 102(2005):14931-36.

注意力をコントロールする能力は、自分の感情をコントロールする能力と密接に関わっていることも確かめられており、これは重要な能力といえるのではないでしょうか。

ゲームも、その内容や、やり方次第では、注意力や集中力を高め、反射神経を鍛え、臨機応変な思考を身に着ける手助けとなるようです。

 

コラム一覧

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。